早池峰山の全登山コース6つとバス利用について 日本のエーデルワイスに会いに行こう!

早池峰山は岩手県中央部、北上山地の山で、新幹線・東北自動車道の通る内陸の盛岡市と、太平洋側の釜石市・宮古市の間に位置する標高1917mの山です。
青っぽくて滑りやすい蛇紋岩(じゃもんがん)という硬い岩で成立しているのが特徴です。

また、片道1時間ほどで登れる南向かいの薬師岳とセットで登る人も多いようです。

 初冬の早池峰山 (photo by まるちゃん)

早池峰山は、蛇紋岩に特徴的な花が咲くことで知られ、「エーデルワイス(ハヤチネウスユキソウ)が群生する山」や「花の百名山」としても有名で、7月頃に花の最盛期を迎えます。

早池峰山へのアクセス方法、全6つの登山コース、そしてお花情報についてお伝えします。

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1.交通規制とシャトルバス等について

夏の早池峰山は混雑するので交通規制があり、麓の駐車場でのシャトルバス利用となります。

高山の環境への配慮のために毎年6月第2日曜日~8月第1日曜日までの土・日・祝日は、車両規制を行っています。
そのため麓にある、岳駐車場・峰南荘からシャトルバスを利用することになります。

シャトルバスはこれらの駐車場と2つの登山口「河原の坊」「小田越」を結びます。

バスは朝早く5時30分頃から30分おきに出ており、片道700円で、両登山口まで運んでくれます。

また、JR盛岡駅から早池峰山への直行バスも出ています。
盛岡駅を朝7時10分に出発し、9時前に登山口(小田越)に到着します(岩手県交通 1,700円)。
同じくJR花巻駅から登山口(小田越)へも、朝9時20分発で10時54分着のバスが出ています(岩手県交通 1,500円)。

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2.早池峰山の主要ポイントと各コースのルート地図

早池峰山の主要ポイントと、今回ご紹介するコースの地図を作成しました。

各コースを参照したい場合は、地図の左上の四角いボタンを押してから、各コースの名前の付いたレイヤーボタンを押してください。

スマートフォンの場合は、一度地図をクリックして、別ウィンドウで全画面表示を立ち上げてから、画面下のタイトル表示「○○の主要ポイント(morigasuki.net)」部分の白枠を押せば、各コースを選ぶことが出来ます。

パソコンでの別ウィンドウでの全画面表示は、地図の右上の四角いボタンを押してください。

地図上に書かれた各コースのルートは、手書きで作成しており、正確に記していますが、微妙にずれていることもありますので、大体の目安とお考えください。

 早池峰山登山の主要ポイント。各コースはレイヤーを選択すると見られます。

この地図をグーグルマップ上に表示させて、登山中に現在位置を確認することもできます。
PCやスマホで使う場合の詳しい設定方法を書きましたので、ご覧ください。

3.各コースの紹介

コース1.河原の坊コースと小田越コースを周遊 初心者おすすめ (所要 5H10M)

※河原の坊コースは平成28年5月26日(木)の雨の影響により登山道の一部(千丈ヶ岩~打石付近)が崩落し、通行禁止となりました。
今後の復旧状況は、岩手県環境生活部自然保護課(019-629-5372)にお問い合わせください。

ここでは、河原の坊登山口から登り小田越に下山するコースを紹介します。下山する小田越は標高1250m地点にあり、早池峰山と薬師岳の2つの登山口になっていますので、下山後に薬師岳にそのまま登ることも可能です。

また小田越コースは登山道が良く整備されており、初心者は河原の坊でなく、こちらの小田越コースのピストンをお勧めします。
河原の坊コースには渡渉地点や急登があり、中級者以上向きと言えます。


ルートは以下の通りです。


河原の坊1,050m~(1H20M)~頭垢離~(50M)~御座走り~(10M)~打石~(30M)~千丈ヶ岩~(30M)~早池峰山1,914m (登り 河原の坊コース 3H20M)

早池峰山1,914m~(10M)~門馬コース分岐~(10M)~剣ヶ峰分岐~(10M)~天狗の滑り岩~(20M)~御金蔵(五合目)~(1H)~小田越1,240m (下り 小田越コース 1H50M)

登山口と下山口が違いますが心配しないでください。
6月から8月の登山シーズンの土・日・祝日には、これらの2地点を結ぶシャトルバスが、朝5時台から夕方4時台まで30分おきに出ています。

歩きの場合は、小田越(1,240m)~河原の坊(1,050m)までの下り35分、登る場合は45分です。


河原の坊コース~早池峰山~小田越コース~河原の坊

河原の坊をスタートすると、アップダウンはほとんどなく昇り一辺倒で、標高差は800m 、最初に4、5回ほど沢を渡ります。増水時で無ければ問題なく渡ることが出来ます。

ガレ場と言っていいほどの岩場が山頂までつづきます。
ストックは植生保護上推奨されていませんが、岩場が多いのでかえって邪魔になるでしょう。

御座走りから手をついて登るような岩場がありますが、危険を感じるような恐怖感はありません。むしろ岩登りを充分に楽しむことが出来ます。
標高が上がるにつれハヤチネウスユキソウがたくさん見られます。

向かいの薬師岳の標高1,644mを超えたあたりからは、遮るものがないので、隣の小田越コースを見渡すことができ、歩いている登山者が見えます。ぐるっと自分が歩くコースが見えるのもなかなか面白いものです。

打石(ぶついし)は、特徴的な形をした岩で、ぶたれて頭にたんこぶができたような形をしています。

千丈ヶ岩から山頂までは約30分。最後に鎖場があります。

山頂は意外と広く多くの人々でにぎわう人気の山です。早池峰神社が祭られており遠くに太平洋、足元直ぐ近くには麓の遠野市などが見えます。

下山は小田越コースへ
小田越コースの下りは、8合目付近まで木道が敷かれ両側にお花畑の御田植場が広がります。
8合目を過ぎ、はしごを下って今登った早池峰山を振り返ると、大きく感じることでしょう。

8合目から下山口までの約2.2Kmは展望がよく、向かいの薬師岳を見ながらの下山となります。
こちらのルートは標高がさがるにつれ岩場が多いので足元に注意し、お花にも目を取られない様に注意が必要です。

早池峰山が東北の山の中でも女性らしい山のイメージを持たれるのは、「花の百名山」として知られることが多いからのようです。
「エーデルワイス」の名前を聞くと 何故か会いたくなる憧れの高山植物のイメージがあります。
しかしどうしてなかなか岩場が立ちはだかり、そう簡単には会わせてくれません。
女性らしいというより、男性らしい山かもしれません。

頑張って会いにいくと思いのほかひっそりと咲いていて、それでいて存在感はたっぷり・・
凛としてしっかり根をはり小さいのに力強さを感じさせてくれる高山植物には何とも言えない魅力がありますね。

高山の環境保護のために、車の乗り入れ規制やストックを控えるようにとのお約束は皆で守って、登山の喜びを分かち合いましょう。

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コース2.早池峰山縦走路 早池峰山~中岳~鶏頭山(けいとうさん) 中・上級者向き (所要 8H40M)

岳駐車場(510m)からスタートすると登る距離が非常に多く、また日帰りが難しくなるため、車を岳駐車場に停めて朝に小田越(1,240m)までシャトルバスでアクセスし、そこから早池峰山~中岳~鶏頭山と下りながら岳駐車場まで下山するのが一般的です。

小田越コースは標高1240mと他の登山口より高いため、頂上までの距離が短く一番早く登頂可能です。


ルートは以下の通りです。


小田越1,240m~(1H20M)~御金蔵(五合目)~(1H)~早池峰山1913m (登り 2H20M)

早池峰山1913m~(1H40M)~中岳1679m~(2H30M)~鶏頭山1445m~(40M)~鶏頭山避難小屋~(1H30M)~岳駐車場510m (下り 6H20M)

鶏頭山のあとに七折の滝分岐から七折の滝コースに進む場合、以下のように30分余計にかかります。

鶏頭山1445m~(20M)~七折の滝分岐~(1H)~七折の滝~(1H20M)~岳駐車場510m (計 2H40M)

小田越から早池峰山頂上までは、コース1の逆ルートです。

登り始めてしばらくすると岩場となり、展望が開け、向かいの薬師岳が良く見えます。
また、足元に咲くお花にも目を取られます。

早池峰山は森林限界が1300m程度と低く、登り始めてすぐにお花を楽しめるので、「花の百名山」と言われます。

また固有種の「ハヤチネウスユキソウ(エーデルワイスの仲間)」は、見た目が涼しく、目を楽しませてくれ、夏の高山にぴったりです。
岩場に咲く可憐な花で、簡単には会えませんが、見に行く価値があります。

8合目付近を過ぎると、木道が敷かれ両側にお花畑の御田植場が広がります。
山頂まで、傾斜の緩い、楽園のような山上の木道を歩きます。

早池峰山は大きな岩がごろごろした山で、険しい山頂のイメージですが、広い岩場となっています。
たくさんの登山者が、思い思いの場所でくつろぐことが出来ます。

ここから鶏頭山まで、展望のよい稜線を徐々に標高下げながら進みます。
また、縦走路は通る人が少なく、静かで孤独な山歩きにはぴったりです。

植生は、ハイマツから徐々にシラビソへと変わり、中岳へと到着します。

中岳山頂はゴツゴツした岩の折り重なったところです。

中岳山頂から鶏頭山へはしばらく、厳しい岩場が続きます。
両側が切り立った狭い岩場が一カ所あり、ここが最も緊張します。
その後も岩場が続きます。

鶏頭山山頂はなだらかで、展望のよい山頂です。

山頂を過ぎ、ニセ鶏頭では、岩場にお地蔵さまが祀られています。

ニセ鶏頭山を過ぎたあたりから、森の中に入ります。

鶏頭山避難小屋では入り口わきにお手洗いがあります。
避難小屋は20人ほどが休憩できます。

避難小屋を過ぎ、森の中を下山すると1時間ほどで水場にたどり着きます。
水場では豊富に水が出ています。

さらに30分ほど歩くと、岳の集落に到着です。

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コース3.門馬(握沢)コース 北側のメインコース 中・上級者向き(所要 8H40M)

磐梯山の北斜面には、門馬(握沢)コース(コース3)と、次で紹介する平津戸コース(コース4)があります。
定期的に登山道が整備されているのがこちらの門馬(握沢)コースで、逆に平津戸コースはところどころ道に不明瞭な所があり、上級者向きと言えます。

マイカーでなく、バス利用の場合、門馬バス停から約5km林道を歩き(1H30M程度)、握沢登山口に到着します。


ルートは以下の通りです。


握沢登山口670m~(1H10M)~六合目~(3H)~早池峰山1913m~(10M)~剣ヶ峰分岐~(40M)~早池峰剣ケ峰1827m (上り 5H)

早池峰剣ケ峰1827m~(50M)~門馬コース分岐~(2H)~六合目~(50M)~握沢登山口670m (下り 3H40M)

登山口から8合目あたりまで、森の中を歩きます。
登山道は明瞭で、迷うことはありません。

5合目まで、握沢沿いを歩き、沢を超える橋が時々現れます。
5合目には鳥居があり、登山道がその下をくぐっていきます。この時、鳥居に吊るされた銅鑼を鳴らしましょう。

6合目では平津戸コースと合流します。
ここまで快適な登山道が続きますが、6合目を過ぎてしばらくすると、徐々に勾配がきつくなります。また徐々に大きな石が目につくようになります。

8合目あたりから視界が開け、足元は岩場となっていきます。

9合目の水場は、申し訳程度に水が出ていて、清水というより岩場にたまっている感じです。あまり使う気が起きません。

門馬コース分岐に着くと、休日は、小田越コースから登ってくるたくさんの登山者に出会います。
すぐに広い岩場の山頂に到着です。
山頂からは、360度のパノラマビューがの楽しめます。
また、早池峰神社奥宮がありますので、そちらにお参りするのもいいでしょう。

引き返して、早池峰剣ヶ峰に足を伸ばします。
御田植場のお花畑を過ぎ、剣ヶ峰分岐で、早池峰剣ヶ峰方面へと進みます。
分岐からは、左右にきれいに落ち込んだ三角形の稜線を進み、40分ほどで到着です。
雪が残っているときには足元に注意して進みましょう。

帰りは同じコースをたどって、握沢登山口へと下山します。

コース4.平津戸コース 道を外さない上級者向き(所要 10H)

このコースは、先にコース3で紹介した門馬コースと比べると整備されておらず、門馬コースに合流するまでに、ところどころ不明瞭な道や、簡易な丸太を渡した沢を2度渡ります。人もそれほど通りません。
そのため、上級者向きとしています。


ルートは以下の通りです。


平津戸駅~(50M)~平津戸登山口~(1H)~六合目~(3H)~早池峰山1913m~(50M)~早池峰剣ケ峰1827m (上り 5H40M)

早池峰剣ケ峰1827m~(40M)~安倍ケ城(五合目)1508m~(1H)~高桧山1167m~(1H50M)~材木沢林道(西)・吉部沢林道(東)分岐~(50M)~平津戸駅 (下り 4H20M)

平津戸登山口には数台の駐車スペースがありますが、登山口にたどり着くまでの道が悪く、オフロード車をお勧めします。

登山口には入山届を投入するポストがありませんので、事前にインターネットなどで手続きしてください。

登山口からの歩き始めから30分程は、沢沿いから徐々に標高を上げていき、沢を離れ、小さな尾根を越え、50メートルほど下って次の沢を超え、六合目合流点で、門馬コースと合流します。
沢にかかる橋は、苔むしている簡易な木の橋です。

六合目合流点で門馬コースに合流すると、それまでと比べて快適な登山道となります。
ここから早池峰山山頂を経て、早池峰剣ヶ峰までのルートは、コース3をご参照ください。

早池峰剣ヶ峰を過ぎ、徳兵衛山、高桧山と縦走し、吉部沢林道合流まではピンクテープが要所要所にあり、注意して歩けば道に迷うことはありません。
ただし、高桧山を過ぎると藪漕ぎとなり歩きづらくなります。
また、人があまり利用しないルートのため、クマよけの鈴やホイッスルを持参しましょう。

吉部沢林道に入ると、倒木や落石を避けながら歩きます。既に廃道のため、整備されているというわけではありません。ただ、緩やかな下りのため、道が崩壊しているということはありません。

平津戸に近づくと、吉部沢林道に入るゲートがありますが、廃道のためゲートは閉まっています。

コース全体の感想としては、歩く距離が長く、早池峰山南側斜面と違い展望がそれほどなく、お花がたくさん見れるわけではありませんが、とても静かな山歩きが出来るコースです。
昔は多くの人がこのコースを利用したようですが、今では廃れているようです。

コース5.早池峰山+薬師岳 岩石の性質の違う2つの山を登る鉄板コース 中・上級者向き (所要 7H50M)

早池峰山を登るなら、ぜひ薬師岳も登ってみてください。
一帯は「早池峰山および薬師岳の高山帯・森林植物群落」として、国の特別天然記念物となっており、二つの山を一緒に登ることには、次に説明するように意味があります。

北上山地の最高峰である早池峰山(1914m)は、主に蛇紋岩という重金属を多く含む特異な地質と、雪が少ないことによる冬季の土壌温度の低下、水分の凍結により多くの植物には厳しい環境を作り出し、蛇紋岩に適応したハヤチネウスユキソウ、ナンブイヌナズナなどの固有種が分布しています。
早池峰山南側の森林限界は低く、1300m程度を超えると背の低いハイマツ帯となり、高山植物を楽しむことができます。

一方で、お隣の薬師岳(1664m)は、マグマ由来の花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん。広義の花崗岩)からなっています。
そのため、早池峰山とは植物の種類が異なり、森林限界が高く、山頂近くまで、オオシラビソを主体とした森林となっています。
北上山地での森林限界は2000m程度ですので、早池峰山が特異であることがわかります。

向かい合う2つの山ですが、成立の仕方が異なり、深海から隆起してきた海洋性の蛇紋岩が先にあり、その後、マグマ由来の花崗閃緑岩が地下から隆起して北上山地を部分的に貫いたり、持ち上げたりしました。
そして、蛇紋岩の早池峰山と、花崗閃緑岩の薬師岳ができたのです。

説明が長くなりましたが、2つの山を、花の時期である春から秋にかけて一度に登り、その植生を比較することができれば、とても面白い登山となります。

登山時間が長いので、中級者以上向けとしています。


ルートは以下の通りです。
※河原の坊コースは平成28年5月26日(木)の雨の影響により登山道の一部(千丈ヶ岩~打石付近)が崩落し、通行禁止となりました。
今後の復旧状況は、岩手県環境生活部自然保護課(019-629-5372)にお問い合わせください。


河原の坊1,050m~(1H20M)~頭垢離~(50M)~御座走り~(10M)~打石~(30M)~千丈ヶ岩~(30M)~早池峰山1,914m (登り 河原の坊コース 3H20M)

早池峰山1,914m~(10M)~門馬コース分岐~(10M)~剣ヶ峰分岐~(10M)~天狗の滑り岩~(20M)~御金蔵(五合目)~(1H)~小田越1,240m (下り 小田越コース 1H50M)

小田越1,240m~(1H30M)~薬師岳1645m (上り 小田越登山口コース 1H30M)

薬師岳1645m~(1H)~小田越山荘~(10M)~小田越1,240m (下り 小田越山荘コース 1H10M)

下りは、少し距離の長い、小田越山荘経由で下山します。

早池峰山の往復登山については、「コース1.河原の坊コースと小田越コースを周遊」を参考にされてください。

小田越まで下山した後、そのまま薬師岳へ登ります。
直線的に登りますが、距離が短く、それほど負荷は続きません。

薬師岳へと登る尾根にたどり着く1600m直前までは樹林帯の中を歩き、あまり展望がありません。

尾根にたどり着くと、頂上まですぐです。
薬師岳頂上では、360度のパノラマビューがあり、向かいの早池峰山もよく見えます。

下りは小田越山荘への道を進みます。
下り始めるとすぐに樹林帯となり展望が無くなります。

1時間ほど下ると小田越山荘に着きます。
小田越山荘は立派な建物で、「山荘」と名前が付いていますが、避難小屋の扱いです。

山荘から車道に出て、小田越に到着です。

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コース6.南北に縦走し、平津戸から遠野・早池峰神社本社へ 上級者向け (11H40M)

早池峰山の山頂には、早池峰神社奥宮があります。この奥宮には、奥宮を囲むように、山麓の東西南北に一つずつ、計4つ早池峰神社本社があります。

最初に早池峰山山頂に奥宮が作られましたが、参詣の不便さから、麓に本殿を移したのです。

コース6では、平津戸から出発し、奥宮に参拝したあと、南側の早池峰神社本社に下山します。
ちなみに北側の早池峰神社本社は、「コース3.門馬コース」の門馬バス停(出発地点)付近にあります。

スタート地点となる平津戸駅には盛岡からの高速バスか、山田線宮古発盛岡行きの始発列車で早朝にアクセスし、北から南に縦走後、最後は遠野市に下り、早池峰神社をゴールとするルートです。
下山後は遠野周辺で宿泊するイメージです。


ルートは以下の通りです。


平津戸駅~(50M)~平津戸登山口~(1H)~六合目~(3H)~早池峰山1913m (上り 5H40M)

早池峰山1913m~(50M)~御金蔵(五合目)~(1H)~小田越 (下り 1H50M)

小田越~(1H30M)~薬師岳1645m (登り 1H30M)

薬師岳1645m~(1H)~又一の滝~(20M)~馬留登山口~(1H20M)~早池峰神社 (下り 2H40M)

このコースは長時間歩きますので、体力のある上級者向けです。

コース途中に小田越山荘がありますが、小田越山荘は無人の避難小屋の扱いで、平時の宿泊はマナー違反と指摘される場合があります。
ただし地域によっては、長距離の間テント幕営地がなく他に宿泊する場所がなかったりして、避難所での平時の宿泊を拒まない所もあり、はっきりした決まりはありません。避難所には泊まっていけないというような法的な規制もありません。
小田越山荘の場合、避難所とされつつ、「山荘」と、いかにも宿泊できるような名前が付いているので、筆者は解釈に困っています。

平津戸から出発し、門馬コースに合流し、早池峰山山頂までに至る経路は、「コース4.平津戸コース」を参照ください。

早池峰山山頂に着いたら、小田越方面へ下山します。

「コース1.河原の坊コースと小田越コースを周遊」でも書きましたが、小田越コースの下りは、8合目付近までしばらくは、登り下りを忘れ、両側にお花畑の広がる御田植場を歩きます。

そこを過ぎると、展望の開けた岩場の下山が続きます。
岩場の隙間には、固有種のハヤチネウスユキソウなどのたくさんのお花が咲いていますが、目を取られて転倒しないように注意が必要です。

小田越まで下山する直前まで、展望が開けています。

小田越へ着くと、次は薬師岳へと西回りの登山道を登ります。

薬師岳は、早池峰山と異なり山頂付近まで森に覆われた道を進みます。
このあたりの、早池峰山と薬師岳の植生や岩石の違いについては、「コース5.早池峰山+薬師岳」をご参照ください。

森を抜け尾根にたどり着くと視界が開け、すぐに頂上に到着します。

頂上からは、遠野方面へと下山します。
下山する登山道は、それほど利用者が多くなく、山の中腹では沢を渡渉したり、倒木をまたいだり、不明瞭な道を進みます。

又一の滝で、横通り(大出コース)と合流します。
合流を過ぎ、20分ほど歩くと、馬留登山口に到着です。

馬留登山口からは、林地や草地を縫って進む、のどかな道を早池峰神社まで1時間20分ほど歩きます。

早池峰ふるさと学校を過ぎ、最後に早池峰神社本社にたどり着きます。
杉の巨木の並木を見ながら、拝殿へと続く参道を進みます。
最近では金運アップなどのパワースポットとして、ここの早池峰神社は人気が出ているようです。

遠野での宿泊は、民宿わらべがおすすめです。


(参考)コース6の逆行程。遠野~馬留登山口~薬師岳~小田越山荘(泊)~早池峰山~握沢登山口~門馬とたどっています。

4.お花情報

夏なのにホワホワして暖かそうな白いムートンのような衣をまとったハヤチネウスユキソウと、ハヤチネウスユキソウに似ていますが、モコモコしておらずツルッとしているミネウスユキソウも早池峰山で見かけます。
やはり純白の細い花を持っています。

ハヤチネウスユキソウはこの山の固有種で、山頂部の蛇紋岩の礫に生えています。東北地方の高山に生息するミヤマウスユキソウとは別の種とされています。

ウスユキソウ属は、ヨーロッパではエーデルワイス1種ですが、日本には5種類以上あり、高山植物の中でも特に人気が高く、可憐なヒロインに例えられます。

エーデルワイスはドイツ語で「高貴な白」の意味を持ち、学名に用いられている属名のLeontopodiumは、ギリシャ語で「ライオンの足」を意味します。
花の部分(実際には花ではなく葉)を白いライオンのたてがみに、それを支える葉や茎の部分をライオンの足に見立てているようです。

 ハヤチネウスユキソウ 岩手県早池峰山 (photo by Qwert1234)

7月にはすでにチングルマが実になっており、ひらひらと特徴ある風車をなびかせています。
ミヤマアズマギク、ハクサンチドリ、ミヤマオダマキ、シシウド、ヨツバシオガマなど沢山の高山植物も見られます。

 ハクサンチドリ 山形県鳥海山 (photo by Qwert1234)

意外と知られていない早池峰山の固有種でナンブトラノオはピンクの小さい花がいっぱい集まった花です。
高さは15~30cmほどで、日当たりのよい蛇紋岩の礫の間に咲いています。

 ナンブトラノオ 岩手県早池峰山 (photo by Qwert1234)

同じく、早池峰山の固有種であるヒメコザクラは、蛇紋岩の間のやや湿った砂礫地に咲いています。
高さ10cmほどで、白い花を持ち、花喉と言われる、花の中心の筒状の部分の入り口が黄白色となります。

 ヒメコザクラ 岩手県早池峰山 (photo by Qwert1234)

下の写真のような場所に、ヒメコザクラは見られます。

 岩手県早池峰山 (photo by Qwert1234)

花の百名山を、ぜひ楽しんでください(^-^)。

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