オリンピックの表彰式はいつやるの?誰も知らない感動秘話も紹介します
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最終更新日:2018/03/05
お祭り(Festival), スポーツ(Sports)
4年に一度開催されるオリンピックの表彰式は、IOCプロトコル・ガイドに沿っておこなわれます。 式典内容は全て事前にIOCの承諾が必要で、メダル授与者の服装や表彰式の場所、最後の表彰式の順番まで決まっているのです。 そんな表彰式のあれこれをお知らせします。
**目次**
1.オリンピックの歴史 夏季オリンピック編
オリンピックの歴史は古く、夏季オリンピックの第一回目は、1896年にギリシャのアテネ(Athens)で開催されました。それから4年ごとに開催地を変えて、1964年には、東京オリンピックが開かれました。これは、第18回目のことでした。
2016年に開催されるブラジルのリオデシャネイロ(Rio de Janeiro)オリンピックは第31回となり、第32回目は、東京オリンピックが待っています。
夏季オリンピックとは言っても、その開催時期は回によってまちまち。第一回目のアテネオリンピックは、4月スタートでしたし、第五回目のストックホルム(Stockholm)オリンピックは、5月スタート。東京オリンピックは、10月スタートで、これはその後体育の日となりました。現在ではハッピーマンデー法などにより、体育の日は変動する祝日となっています。
競技数はどうでしょうか。9競技43種目で始まった頃から年月を重ね、リオデジャネイロオリンピックでは、28競技306種目と数も種目も大幅に増加しています。
参加国・地域数は、14で始まり、当時は約240選手が参加しました。そして、2012年のロンドン(London)オリンピックでの参加国・地域数は204となり、その当時の最高数となり、参加選手数は、約10、600人とされました。
2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、206のすべての国と地域から、11、237人が参加し、国・地域の数、参加者数ともに最高を更新しました。
ちなみに、リオデジャネイロオリンピックから増えた2つの国は、コソボと南スーダンです。
開会式は盛大に行われますが、これから競技に臨む選手たちはこの場を楽しみつつも心の高まりを持っていることが感じられます。一方、閉会式は競技が終わった後なので、自分のプレーに満足したり、相手選手に敬意を示したり、と心の解放が感じられます。選手からは笑顔も見えてきます。
2.オリンピックの歴史 冬季オリンピック編
冬季オリンピックの第一回は、1924年にフランスのシャモニー(シャモニー・モン・ブラン Chamonix-Mont-Blanc)で、第11回目に札幌オリンピックが開催されました。
「虹と雪のバラード」をご存知でしょうか?これは、札幌オリンピックの大会テーマ曲として作られ、今でも合唱曲などで歌われるなど、多くの人の心に響いています。
その後、1998年には、再度オリンピックが日本にやってきました。18回を記念したこのオリンピックは、長野で開催され、時差無しで見られる、また日本が開催地という事で熱いプレーを自分の目で見た人も多かったという特別なものでした。
冬季オリンピックは、ほとんどが2月に開催されています。屋外スポーツが多く、雪などが十分にある場所、時期でないと開催が難しくなってしまうので、理にかなったことです。
競技数はどうでしょうか。6競技16種目の第一回目から、2014年の第22回のソチ(Sochi)オリンピックでは7競技98種目と変化を重ねてきました。競技数は大きく変わっていないものの、種目数は大幅に増えています。スポーツの多様性の変容が見て取れます。
参加国・地域数は、第一回目が16、そして第22回目が88となっています。夏季オリンピックと同じく、この88という数は、過去最大を記録しています。札幌オリンピックの時は35、長野オリンピックは72です。
参加選手数は、第一回目が約260名、第22回目が約2、870名。うんと数が増加しています。ちなみに、札幌の時は約1、000名、長野の時は、約2180名となっています。
オリンピックの歴史を振り返ってみると、競技数、参加国・地域数、そして参加選手数が徐々に増えていることが分かります。しかし、その時の世界情勢などにより、必ずしも毎回増えているとは言えません。
オリンピックは、平和の祭典とされており、スポーツと政治は切り離されていると言われているものの、実際は、政治的情勢によりオリンピックへの不参加を示した国も多いのが実情です。 ですが、全体的に見てみると、オリンピックは毎回その規模が大きくなっていると言えます。
3.表彰式あれこれ
オリンピックは、世界中の国で行われますので、開催国の地理によっては、時差がでてしまいます。日本国民であれば、これまでに開催された東京、札幌、長野オリンピックは、時間を気にせず見られましたが、時差が大きいところで開催となると、寝不足が続いてしまいます。
そして、参加国・選手数が非常に多いわけですから、競技一つとっても、日本の選手がいつ出場するか、というのもいろいろと違ってきます。夜通し見てきたけれども・・・もう眠い、限界!後ろ髪をひかれる思いで寝床へ向かう、ということもよくあることです。
しかし表彰式はたいていがその競技の終了後に行われるので、プレーと比べると中継を見ることはいくらかハードルが低いように思われます。それに、日本人選手がメダルを取れば、ニュース番組を始め、あちらこちらのテレビ番組でその様子が再放送されます。
プレーよりは目にする機会が多く、これまでにもたくさんその様子を見てきた、それが表彰式かと思いますが、まだまだ知らない「表彰式」があるのです。
表彰式 誰が参加できる?
閉会式を見ていると、「あれ?あの選手映ってない。」という事が多々あります。これは、競技種目によっては、オリンピック開催後早々と行われるので、その種目に参加した選手は、終了後オリンピック開催地を離れてしまうことがあるからなのです。開会式から比べると、会場を歩く選手数は激減します。
しかし、表彰式に出ないという選手はまずめったにいません。表彰式に出られるという事は、上位3位に入賞したということで、同時に金、銀、銅、どれかのメダルが授与されるということなのですから。
選手はみな口々に言います。
「金メダルをとります!」
「前回よりも良い色のメダルをとりたいです!」
選手の誰もが、メダルを、更に言えば銅よりも銀、銀よりも金のメダルを目指して4年に一度のこのスポーツの祭典で、最高の成績を出せるように、日夜体力的にも精神的にもきついトレーニングを重ねているのです。
さて、競技には、個人で参加するものと、チームで参加する物があります。個人参加であれば、その人だけがメダル受賞者となります。しかし、チームの場合はどうなのでしょうか?主将だけがもらえるのでしょうか?いえ、それでは不公平ですね。
ということで、
「表彰式に参加できる選手は、各種目で三位以内に入った選手またはチーム」
という規定がなされています。
なお、オリンピックの開会式、閉会式、そして表彰式の三つは、オリンピックの式典とされています。さらにこれら三つは、オリンピック憲章(Olympic Charter)で定められている行為なのです。
オリンピック憲章とはなんでしょうか?これは、オリンピック競技大会に関する基本的事項を定めた規定とされています。自由になんでもできるわけではなく、この規定に沿って行うこととなっている、ということです。
オリンピックの式典は、IOCプロトコル・ガイドにそって忠実に行わなければならず、三つの式典の内容は、全て事前にIOCに承認を得る必要があるとされています。
表彰式では何をする?
そりゃメダルの授与に決まっているでしょ、という声が聞こえてきそうですが、それだけではありません。
表彰式で行われることは、大きく分けて二つです。
1.メダルを受賞した選手の紹介、そしてメダルと記念品を授与すること
2.メダルを受賞した選手の国旗掲揚、そして金メダル獲得選手の国歌の演奏
お馴染みの光景ですね。
1についてもっと詳しく述べると、授賞式の時にメダルを授与する者は、IOCの委員(メンバー)となっています。IOCメンバーは、陸上競技のIAAF(国際陸上競技連盟)や、水泳のFINA(国際水泳連盟)といった競技連盟の人と一緒に表彰式に現れます。競技連盟の人は、選手に小さな花束を手渡す役割があります。ちなみに、2004年にアテネでオリンピックが行われたときには、選手は、古代オリンピックの伝統に基づき、オリーブ冠を受け取りました。
続いて2についてですが、それぞれにメダルが授与されると、3人のメダリストの国の国旗が掲揚されます。位置も決まっていて、金メダリストの国旗が中央一番高い位置に、向かって左側に銀メダリストの国旗、右側に銅メダリストの国旗が金メダリストの国旗よりも低い位置に掲揚されます。そして、3つの国旗は、金メダリストの国歌が演奏されるのに合わせて掲揚されるのです。
金メダリストが、国歌を聞き、上がっていく国旗を、涙を流しながら眺める光景は、表彰式で一番輝いている瞬間ですね。
ちなみに、表彰台についての規定もきちんとなされています。3段になっている表彰台が、表彰者の為に使われます。金メダル受賞者が、一番高い段に上がることとなっています。
その他にも表彰式についての規定があります。開催国の国民は、表彰式の間、その手伝いを行うこととされています。メダルを授与する役員や、国旗掲揚に関わる係員のサポートをすることがこれにあたります。表彰式を見ていると、その国の民族衣装などを着て表彰式のカメラに映っている人が目に入ります。そのことをこの規定は述べています。
表彰式はいつやるの?
表彰式を行うタイミングは、夏季オリンピックと冬季オリンピックで異なってきます。また、競技によっても異なってきます。
基本は、競技が全て終わった後に、表彰式が行われることとされています。それはそうですね。優勝者が決まらないとメダルの色は決められませんし、たとえ上位三位に入賞できなくても、参加選手にとっては自分が何位に位置するのかということは大切な事です。
夏季オリンピックについて
夏季オリンピックは、それぞれの競技会場で、競技が終了したらすぐに表彰式が行われることとされています。柔道は柔道場で、マラソンはフィールドで、というようなことです。
冬季オリンピックについて
一方、冬季オリンピックはそうではありません。これを知っておかないと、眠たい目をこすって競技を最後まで見たのに、あれ?表彰式はやらないの?!という事態が起きてしまいます。
冬季オリンピッでは、メダルプラザという場所で表彰式が行われます。しかも、夜行われます。これは、競技が行われる時間がまちまちであることと、季節が冬なので、外での表彰式は寒い、ということが関係しているようです。また、スキージャンプを行う所と、クロスカントリーが行われるところが近いとも限りません。競技が繰り広げられる場所が屋外であることが多い冬季オリンピックは、あちこちで表彰式を行うことができない、ということも挙げられます。
しかし、フィギュアスケート、スピードスケート(1994年より)、ショートトラックスピードスケート、そしてアイスホッケーは、競技が終了後すぐに表彰式が行われます。このように、競技によっていろいろなので、見たい表彰式がいつ行われるかは、冬季オリンピックに関しては特に、最重要チェック項目になるのです。
こんな慣習があった!
夏季オリンピックにおける男子マラソンと、冬季オリンピックにおける男子50キロクロスカントリースキーの表彰式は、競技終了後別の日にオリンピックスタジアムで開かれる閉会式の中で行われているのです。したがって、常に最後の表彰式は、これらの競技となっています。
こんな心温まる式典もあった!
表彰式ではないのですが、有名な話があります。1912年第五回目のオリンピックは、スウェーデンのストックホルムで開催されました。この時、日本からは金栗四三(かなぐりしそう)選手が、マラソン競技に出場しました。しかし、金栗選手はマラソン競技の最中に、日射病で倒れ、意識を失ってしまいました。近くの農家で介抱されたものの、意識を取り戻したのは、翌日でした。途中棄権になってしまった、という結果でした。
しかし、1967年に、ストックホルムオリンピック開催55周年記念式典が開催されることとなり、ここで金栗選手をゴールさせよう、という話が出たのです。金栗選手は招待を受けてストックホルムに飛び、競技場をゆっくりと走り、ゴールテープを切りました。
54年と8か月6日5時間32分20秒3
これが金栗選手の記録となりました。
ゴールテープを切った時、金栗選手の名前、そしてタイムとともに、「これをもって、第五回ストックホルムオリンピックの全日程を終了します」というアナウンスが場内に流れたのです。北欧・スウェーデンのあたたかい心が伝わってくるオリンピックエピソードとして語り継がれています。
何を着る?そして表彰式の他の規定にはどんなものがあるの?
華やかな表彰式の舞台。選手は何を着ているのでしょうか?
あまり意識して見ていないと思うのですが、表彰式の最中の選手の服装や行為についても、厳格なルールが規定されているのです。
表彰式に出る選手は、事前に自国のオリンピックチームの基準にそった、そして事前に承認がなされている衣装だけを着ることができる、とされています。競技が終わったから、何を着てもいい、ということではないのです。
フィギュアスケートなどは、そのままの衣装であることが多いですね。柔道やレスリングなども試合着のまま。しかし、なでしこジャパンなどは、ユニフォームではなくて皆さんおそろいの服を着ていました。これが事前に自国のオリンピックチームの基準にそった、そして事前に承認がなされている衣装、というわけです。
平和の祭典 プロパガンダを離れ、受賞者には世界中から純粋な拍手を
競技が終わってからの表彰式は特に注目を集めます。
選手の出身国を象徴する国旗が掲揚され、国歌が演奏されます。
オリンピック憲章 第5章の50では、いかなる政治的なプロパガンダも禁止されています(No kind of demonstration or political, religious or racial propaganda is permitted in any Olympic sites, venues or other areas.)。
ですから選手においては、表彰台に上がっている最中のみならず、会場内ではいかなる政治的な主張もしてはいけないとされているのです。
競技の締めくくりともされる表彰式。
メダルの獲得はもちろんですが、健闘を称えて送られる、純粋で温かい拍手に包まれる瞬間も、選手は追い求めているのかもしれませんね。
4.まとめ
様々な既定の中で、その国らしさを出していく表彰式。選手にとっては最高の舞台であり、それを見る我々は、メダルを勝ち取るまでにあった数々の苦難や努力に感銘を受けます。
「すばらしかった!競技も表彰式も!」では終わりにせず、次のオリンピックを見るときはぜひとも今回紹介した表彰式のよもやま話を頭の片隅に置いて見てみてください。きっとたくさんの発見と気づきがありますよ。
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