最初のイリオモテヤマネコ保護まで 発見からの経緯

公開日: : 最終更新日:2018/02/14 旅行(Travelling), 生きもの(Living thing)

日本の西表島だけに生息するという珍しいヤマネコ「イリオモテヤマネコ」が発見されるまでには、食用にされていたため手掛かりがなかなか見つからなかったり、賞金をかけて捕獲したりといった苦労がありました。

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併せてこちらもどうぞ。
・イリオモテヤマネコの特徴、保護活動や減少している原因を紹介します。
・ツシマヤマネコの保護の現状と守るためにできること
・レッドリスト・レッドデータブックと文化財保護法(天然記念物)、鳥獣保護法、種の保存法、ワシントン条約との関係

1.発見までの長い年月

今ではイリオモテヤマネコは珍しいネコだ!ということが知られていますが、それはこの種が発見され、長い年月をかけて研究がなされたからなのです。

イリオモテヤマネコは野生の猫でしかも西表島にしかいないヤマネコなのだ、ということが言えるようになるまでには、山あり谷あり、非常に多くの苦労があったのです。

1962年にイリオモテヤマネコの幼獣が捕獲されました。しかし、当時は食糧難であったため、罠にかかったイリオモテヤマネコは食用となり、研究者にとって入手自体がとても難しい状況だったのです。

ですから、その皮やフン等を入手し、また、死体を入手して研究を重ねるも、完全な標本にはとても行きつかない状況でした。1965年にはこの生きものは新種らしい・・・とされたにも関わらず、なかなか研究が前進しませんでした。

全体数が少ないであろうと考えられていたり、またはイエネコが野生化したのだろうと言われていたり、実際に捕獲がされても1年に2頭ほどだったので、研究が思うように進まなかったのです。

地元の人が埋めたというネコの死体を掘り起こして調べても、部分的な標本にしかならず、全体像はなかなかつかめなかったのでした。

賞金がかけられたこともありました。生きた状態ではもちろんのこと、死体であっても、賞金がかけられました。

1966年1月に生け捕りに成功したものの、逃げられてしまい残念な結果に。しかし、その後また別のオスの捕獲に成功しました。同じ年の12月にはメスが捕獲され、翌年3月には、この二頭のイリオモテヤマネコは、飛行機に乗って羽田空港にやってきたのでした。もっとも、この時はまだイリオモテヤマネコという名前ではありませんでしたが。

その後この2頭のヤマネコは、発見者宅などで保護、飼育され、のちに国立科学博物館でその研究と保護、飼育が引き継がれました。

この個体は、1973年にはオスが、1975年にはメスが死亡しました。

西表島では昔から「ヤママヤー」「マヤー」「ピンキマヤー」とネコを3つに区別して呼んでいました。

「ヤママヤー」は山にいるネコ、「マヤー」は飼いネコ、そして「ピンキマヤー」は野良ネコのことを指しています。

ということは、現地ではこのネコの存在が古くから知られていたのだという理由づけにもなりました。

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2.どんなネコ? 食性、寿命など

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写真:西表野生生物保護センター展示物

イリオモテヤマネコは、西表島にのみ生息しています。

とても珍しい動物であると同時に、残念なことに現在では絶滅危惧IA類に分類されています。絶滅危惧IA類とは、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」というカテゴリーです。

また、イリオモテヤマネコは、国の天然記念物とされています。現在の生息数はおよそ100頭ほどであると推測されているくらい、とても珍しく、希少種であるのです。

我々が一般的に「ネコ」と認識している猫はとてもかわいい種類ばかりです。昔ながらの三毛猫、おしゃれな雰囲気が漂うアメリカンショートヘア―、そしてマンチカンなど、どの猫もとっても愛らしいお顔。

しかし、イリオモテヤマネコは違います。どちらかというと強い雰囲気が漂います。

それもそのはずです。
前述の三毛猫などは家猫、言葉を変えれば人間に飼われている猫ですが、イリオモテヤマネコは野生の猫です。野生、と聞くだけで、その強さが想像できますね。

何を食べるのでしょうか?

何でも食べます。魚類、両生類、甲殻類も食べます。これらは、水に入ったり、潜ったりして捕獲します。他の哺乳類も食べますし、爬虫類も食べます。鳥類も食べます。

鳥に関しては、大きな鳥でもそのまま丸ごと食べてしまうほどのワイルドなネコなのです。

現地のガイドによると、カニや魚を狙ってマングローブの森の海辺に現れたり、川幅最大200mある、沖縄最大の浦内川を平気で泳いで対岸に渡ったりするのを目撃しているそうです。

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写真:西表野生生物保護センター展示物

そのため、イリオモテヤマネコに会えるのは、ガイドと共に行くジャングルクルーズやカヤックツアーの最中、また子育ての時期の道路横断中などになるようです。

このような生態は、西表島の環境に理由があるとされています。

小型の哺乳類がもともとこの島にはいなかったことが挙げられます。また、他にエサを取り合うような生き物がいなかったことから、いろんなものをエサにすることができる環境が成り立ったと言われています。

見た目はどのような感じなのでしょうか?オスは体長55~60センチ前後、体重は3.5~5キロ前後とされています。一方メスのイリオモテヤマネコは、体調50~55センチ、体重は3~3.5キロほどということ。尻尾は24センチほど。

ヤマネコという名がつく他の種類には「ベンガルヤマネコ」がいます。オスの脳の重さを比較してみると、ベンガルヤマネコが42グラムほど、そしてイリオモテヤマネコは30グラムほどと言われています。イリオモテヤマネコの方が、少し小さめであることが分かります。ヤマネコと一言で言っても、脳の大きさまで変わってくるのです。

その他の特徴は、イリオモテヤマネコは夜行性ですが、明け方や夕方に活発に動きます。他に敵が少ないのであれば昼間も活動してよさそうに思えますが、そうではないのですね。

また、4月から6月の間に、3匹ほどの子どもを産みます

イリオモテヤマネコの寿命は、野生環境と飼育環境で大きく変わってきます。これは仕方のないことですね。野生では敵がいたり、エサの不足なども起こりますが、飼育下では様々な面で安全が保たれています。

野生の状態においてのイリオモテヤマネコの寿命は、8年ほどと言われていますが、実際は4~5年とこれより短いとされています。なぜなのでしょうか?

それは、エサを取っている最中などにけがをして障害が残ったり、体調を崩したり、また、高齢になって弱ってくるとエサの獲得が難しくなったりといったことに加え、動物や水辺の生き物を取るために人間が設置した罠にかかってしまったりするためなのです。

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写真:西表野生生物保護センター展示物

また、西表島はリゾート地としても人気があります。車にひかれてしまうこともあるのです。

飼育されている状態においては、野生よりもずっと長く9年ほどと言われています。怪我をしたものが動物園などに保護され、そのままそこで飼育されていた過去のケースなどでは、推定寿命が15年ほどというイリオモテヤマネコもいたそうです。

捕獲や事故の心配がなく、そしてエサの心配もなくおまけに栄養状態や居住環境が良いのですから、寿命は延びるとはいえ、ここまで長いというのは驚きです。

3.どんなネコでも同じ 人間が彼らの環境を壊しては生きていけません。

西表島には、西表野生生物保護センターという施設があります。ここでは、環境省の自然保護官が常駐していて、イリオモテヤマネコを始めとし、さまざまな生きもののことを深く知ることができます。

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見た目は強いイメージのイリオモテヤマネコですが、ネコはネコです。
エサが無ければ生きていけませんし、環境が荒らされてしまえば、住む場所を追われてしまいます。

また旅行中に運が良ければ野生のイリオモテヤマネコを見られるかもしれませんが、交通事故にはご注意を。

イリオモテヤマネコなどの野生動物との事故を減らす目的で、島内にはいたる所に、車のスピードを出しすぎないように、という看板が出ています。

ネコと名がつくものは、飼いネコでも野生ネコでも同じです。日本にいるこの珍しいネコを、我々は大切にしていきましょう。

併せてこちらもどうぞ。
・イリオモテヤマネコの特徴、保護活動や減少している原因を紹介します。
・ツシマヤマネコの保護の現状と守るためにできること
・レッドリスト・レッドデータブックと文化財保護法(天然記念物)、鳥獣保護法、種の保存法、ワシントン条約との関係

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