北欧の家 スウェーデンでは家を2つ持つ
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最終更新日:2018/02/13
スウェーデン(Sweden), 北欧(North Europe), 旅行(Travelling), 生活(Life)
あなたにとって「家」はどんな場所ですか?
家族と団らんするところ、自分の趣味を楽しむ所、好きなもので飾り立てるところ。
家に関する思いは人それぞれです。
スウェーデンの世帯では、普段の「生活用」と休暇の時の「別荘」と、家を二つ持つのが一般的です。
時間をゆったりと使い、休暇を満喫することが上手だから、家を二つ持ち続けられるのでしょうか?!どうやって使っているのでしょうか?そして我々日本人はそこから何を学べるのでしょうか?
1.テキストに載るくらい一般的な「別荘」の存在
さて、スウェーデンに住んでいて現地の学校に通っていた時、テキストにこのような記載があり驚きました。
「スウェーデン人は家を二つ持つ。一つは居住用。もう一つは小さくても良いから別荘を」
別荘!
日本では特別な響きがあります。経済的に余裕のある人が持つもの、そのようなものが別荘。
今の持ち家のローンだけでも精一杯なのに、別荘を持つだなんて考えられない!
世間一般はこうです。持っていない人の方が多いです。
しかし、スウェーデンは違いました。このテキストの記載の通りでした。
もちろんスウェーデン国民全員がこうではありませんが、日本よりはずっと別荘所持率が高い、それがスウェーデンの現実でした。
私も実際、現地スウェーデン人の友人の別荘に行ったことがあります。友人の、というよりも友人の両親が所有している別荘に行った、という方が正しいですね。とても学生では別荘は持てませんから。
別荘のタイプはいろいろで、コンパクトなものから、かなりの広さを有する物までありました。しかし、共通して言えることは、それらは都市部から離れた、自然豊かで静かなところにあるということです。
コンパクトであっても、キッチン、リビング、寝室が数部屋あり、個人のプライバシーは守られつつも、皆で過ごす時間もしっかりとそこには存在しています。キッチンはきちんと料理ができる設備が備わっています。4週間くらい過ごすので、毎日の食事も快適に料理し、そしておいしく頂きたいのです。
2.時間を楽しむ~別荘を持つ理由~
なぜ別荘を持つのか。
いろいろ理由はあると思いますが、理由の一つとしてスウェーデンの長い休暇があげられます。
夏の間、6月から8月の3カ月の間に、4週間の休暇を取る権利があります。なんと連続して取ることができるのです。ああ、なんとうらやましい制度でしょう!
しかし、これだけの休暇、どうやって過ごすのでしょうか?
そこで「別荘」が登場するのです。
もちろん海外旅行に行く人もいます。
しかし、スウェーデン人にとっての休暇は「ゆっくり過ごすもの」。たとえ海外旅行に行ったとしても、観光地をあくせくまわって、ということはあまりしません。ですので、国内にとどまる人もあくせくしません。
国内にとどまる人は、自分の別荘に行き、そこで休暇を過ごします。
別荘は別名「サマーハウス」。名前の通り、夏を過ごすハウスなのです。
しかし、サマーハウスは夏だけの場所ではありません。ちょっと長い休暇が取れたときにももちろんここに来て過ごしたりしますし、週末の数日だけ短期間で来る、ということもあるのです。
3.別荘では何をするの?
別荘が建っているところはたいてい都市部から離れています。サマーハウスエリア、とでも言えるでしょうか。夏季以外はあまり人が多くいません。
夏の時期になると、どこの家庭も自分の別荘にやってくるので、このエリアが一つの町になります。とは言っても、国土の広いスウェーデン。サマーハウスが建っているところも非常に広々としているため、人がたくさん集まろうと騒がしくはなりません。
別荘同士が離れているところもありますし、例え隣人がいたとしても、もともと静かなエリアなので、多少人が集まったところで、そううるさくはなりません。
エリアにはあまり大きなお店はありません。その為、自宅から別荘に来るときに食料品をもってくることもあります。買い物メインの休暇ではありませんので、必要なものを必要なだけ買うだけで十分なのです。
さて、4週間もの長い休暇、スウェーデン人は何をして過ごすのでしょうか?
答えは、何もしません。もとい、「特別な」ことはしません。
家族みんなで別荘に来たとしても、自分のやりたいことをそれぞれのペースでやります。
庭いじりが好きな奥さんであれば、ガーデニングを楽しむでしょう。音楽鑑賞が好きなお父さんであればソファに座ってクラシックに耳を傾けるでしょう。若者はどうか。ただ静かに読みたい本を読みふける。久々に会う家族と会話を楽しむ。
決まりはありません。
4週間もこんなことをしていては飽きてしまう!多くの日本人はそう思うかもしれません。それより、4週間も連続休暇なんて、大学生でない限りとれないものなので、想像すらできないかもしれません。うらやましいと思いながらも。
しかし、彼らは別荘で時間を楽しんでいるのです。都市部の喧騒から離れ、毎日の仕事から離れ、学業から離れ、自分自身を充電しているのです。日が昇れば起きだし、暗くなったら眠る。お腹が空いたら食べ、やりたいことをやる。人間の本来のライフサイクルを満喫しているのです。
4.日本人の「休日」そして「家」の捉え方
ここまで書くと、日本との大きな違いが感じられます。社会制度の違いももちろんあるでしょうし、根付いている文化の違いもあります。
どうしても、日本人の休日の過ごし方は目的が必要と、暗黙のうちに捉えられている部分があると私は思います。
何かしなくてはならない、こうしなくてはならない。それは、休日が限られているから、それを無駄なくいかに効率よく使いこなすか、という日本人の考えが存在しています。
確かに、寝てばかりで休日を過ごしてしまってはモッタイナイ、天気が良いのに一日家にいてはモッタイナイ、こんなことをしていては、なんだか損をしたような気分になる、そんな風潮が感じられます。
手帳を開いて休日の予定が埋まっていないとなんだか不安だ。
何か予定を入れなくては。
あのお店に買い物に行こう。
特に買いたいものもないけれども、行けば何かしら見つかるだろう。
日本人のアルアルです。
また、家に関してもアルアルがあります。
ようやく手に入れたマイホーム。お気に入りの家具を揃えたし、内装デザインも自分好み。
部屋の掃除もバッチリだ!
趣味は料理。食器も調理器具も自分の好きなものでまとめたわ。
とても素敵ですね。想像するだけでため息が出ますし、今後マイホームを考えている人にはうらやましく映ることでしょう。
ですがどうでしょう?休日はどうしているでしょう?
週末は外食ばかり。そして一日中買い物をしているうちにあっという間に時が過ぎてしまっている。あの場所にも、そしてこの場所にも行きたい!休日はとにかくレジャーにどっぶりだ!
よくあることです。
しかし、ちょっと立ち止まって見直してみましょう。
せっかく手に入れたマイホームです。高いローンも払い続けています。掃除も行き届いていて、目に入るものは自分の好きなテイストのものばかり。とても心地よい場所なのにそこで過ごすことをせず、外にばかり目も足も向いてしまっている。外に出ていくお金もどんどん膨らんでいる。
モッタイナイですね。
このままでよいでしょうか?あなたはこのままでいたいでしょうか?
5.日本人がスウェーデン人から学べる生き方
平日は残業続きで家に帰るのは深夜。寝に帰っているような生活。そして休日は外にでかけてばかりでこれまた家にはいない。よくある日本人のパターンです。
そうではなくて、もっと家を大切にしましょう。
我々がスウェーデン人のライフスタイルから学べることはたくさんあります。
別荘を持つことは出来なくとも、今住んでいる自分の家を大切にすることはできます。
インテリアにこだわったのであれば、そこで過ごす時間もこだわりましょう。
料理が趣味であるのならば、友だちを呼んでホームパーティーを開きましょう。
どんどん家を活用するのです。箱ものにしておくのではなく、そこに「時間」という価値をどんどん付けていくのです。
時間の捉え方はどうでしょうか。日本人が持ちがちな「~すべき」「~しないといけない」という思いからちょっと離れてみましょう。長年してきたことをいきなり変えることは難しいので、ちょっとでよいのです。
自分の心の欲するままに過ごしてみましょう。4週間も休暇はなくても、週末二日間でも良いのです。本を読む、自然に触れる、ずっとやってみたかった趣味を始めてみる。
自分の心の中にずっと持っていた何かが表に出ることで、また平日の活力が湧いてくるのです。最初のうちは損をしたような気持ちになるかもしれませんが、慣れてくるとそうではなくなります。
あくせくしない新しい自分が出てきます。
心に余裕がでてきます。
スウェーデン人が別荘を持つ理由、そして彼らの休暇の過ごし方をちょっと知るだけで、憧れだけでなく、我々日本人も自分の生活を少しいい方向に変えていけるのかな、と思います。
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