絶滅危惧種の一覧である日本や世界のレッドリスト・レッドデータブックと文化財保護法(天然記念物)、鳥獣保護法、種の保存法、ワシントン条約との関係
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最終更新日:2018/02/20
アウトドア(Outdoor), 生きもの(Living thing)
レッドリスト?レッドデータブック?なんだか赤くて危なそうな色の本ですね。
これらは、絶滅のおそれのある野生動植物を掲載している本などで、環境省の出している日本国内の動植物を掲載したものやIUCN(国際自然保護連合)が出している、世界の動植物を掲載したものなどがあります。
絶滅危惧種の一覧は、「レッドデータブック・レッドリスト」で検索すると環境省のHPから見ることが出来ます。
多くの人が勘違いしていますが、レッドリスト・レッドデータブックに掲載されているからといって、その動植物が法律で保護されているわけではないのです。鳥獣保護法、文化財保護法や種の保存法といった別の国内にある法律で、保護される動植物が決められているのです。
併せてこちらもどうぞ
・イリオモテヤマネコの特徴、保護活動や減少している原因を紹介します。
・ツシマヤマネコの保護の現状と守るためにできること
1.レッドリスト・レッドデータブックとは
レッドデータブック(汽水・淡水魚類編)環境省野生生物課(編)
レッドリストとレッドデータブックは違うものです。
単純に言うと、動植物の名前だけ載っているのがレッドリスト、動植物の名前のリストに加えて生息数減少の理由などの説明が丁寧に書かれているのがレッドデータブックです。
レッドリスト
絶滅しそうな動植物の名前が掲載されている表(リスト)を、レッドリストと言います。
これは、スイスに本部がある国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生生物のリストで、数年に一度のペースで見直され、公表されています。
絶滅のおそれが高い動植物を、その高い順からCR(絶滅寸前)、EN(絶滅危惧)、VU(危急)などとわけ、リスト(表)にして公表しているものです。
日本の環境省もこれに倣い、同じようなカテゴリー(CR、EN、VU)に分け、レッドリストを公表・改定してきました。
IUCNレッドリストカテゴリー (IUCN日本委員会)
カテゴリー | 説明 |
絶滅 Extinct(EX) | すでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅 Extinct in Wild(EW) | 飼育・栽培下であるいは過去の分布域外に、個体(個体群)が帰化して生息している状態のみ生存している種 |
絶滅危惧IA類 Critically Endangered(CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
絶滅危惧IB類 Endangered(EN) | ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種 |
絶滅危惧Ⅱ類 Vulnerable(VU) | 絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続いて作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実と考えられる種 |
準絶滅危惧 Near Threatened(NT) | 存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有する種 |
軽度懸念(LC) | 基準に照らし、上記のいずれにも該当しない種 |
情報不足 Data Deficient(DD) | 評価するだけの情報が不足している種 |
環境省レッドリストカテゴリー
カテゴリー | 説明 |
絶滅 Extinct(EX) | すでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅 Extinct in Wild(EW) | 飼育・栽培下であるいは過去の分布域外に、個体(個体群)が帰化して生息している状態のみ生存している種 |
絶滅危惧IA類 Critically Endangered(CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
絶滅危惧IB類 Endangered(EN) | ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種 |
絶滅危惧Ⅱ類 Vulnerable(VU) | 絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続いて作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実と考えられる種 |
準絶滅危惧 Near Threatened(NT) | 存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有する種 |
情報不足 Data Deficient(DD) | 評価するだけの情報が不足している種 |
国内の全都道府県でも環境省などのものに倣い、同じようにカテゴリー(CR、EN、VU)を分け、各都道府県内で絶滅のおそれのある動植物を掲載した、レッドリストを公表しています。
さらに市町村によっては、各市町村内で絶滅のおそれのある動植物を掲載した、レッドリストを公表しています。
レッドデータブック
レッドリストに掲載された動植物種を、写真や専門家による生態、生息地や減少要因などの解説とともに説明した本がレッドデータブックです。
レッドリストを改定・公表した後に、その種のことを詳細に説明するために作成されるのですが、各専門家がじっくり時間をかけて執筆するため、レッドリスト公表からかなり時間がたってからしか出版されなかったり、そもそも出版されなかったりします。
レッドリストとの関係では、レッドリストが公表・改定されてから、レッドデータブックを執筆し公表する、という流れになります。まず、レッドリストを素早く公表し、絶滅の危険性を世の中に知らせたのちに、詳細を説明するレッドデータブックを出版するという順番です。
但し、環境庁時代に初めて公表されたレッドデータブックや各都道府県のレッドデータブックなどでは、レッドリストの公表が過去に一度もされないまま、最初にレッドデータブックが公表されたという例があります。
その場合、レッドリストはレッドデータブックの一部で、公表されたレッドデータブックの中にレッドリストも掲載され同時に公表されたという扱いです。
ある動植物が、国際組織であるIUCNのレッドリストに掲載されたからと言って、日本のレッドリストに掲載されているとは限りません。逆もそうです。掲載するにあたってのカテゴリー分けの判断基準が異なりますし、カテゴリー分けをする各分類群の専門家のメンバーも異なり、判断が異なる場合があります。
日本のレッドリスト・レッドデータブックは、環境省の「生物多様性センター」というところのHPで確認することが出来ます。
また、赤い表紙で有名なレッドデータブックは、本にもなっていますので、環境省の「自然環境研究センター」の書籍通信販売部門でインターネットから購入することもできます。
IUCNのレッドリストは、IUCN日本委員会のホームページ上から検索したり、確認したりすることが出来ます。
レッドリストに掲載されている日本の動植物数
日本のレッドリストは、1991年に初めて公表されました。
下の図を見ればわかるように、それ以来、現在までレッドリストに掲載される動植物数は増加の一途をたどっています。
環境省の組織や予算はどんどん大きくなっていますし、自然保護に関わる法律や国際条約などもどんどん増えていますが、掲載される種数はどんどん増えています。。。不思議ですよね。ちゃんと仕事をしているのでしょうか。
レッドリスト・レッドデータブック検討会
すべての動植物種の絶滅のおそれを調べるためには膨大な研究者・関係者からの情報を集め、判断する必要があります。
そのために環境省には「絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会」が設置されています。
この検討会は大学の教授などの専門家で構成され、親検討会と9つの分科会からなっています。
9つの分科会には、哺乳類、鳥類、汽水・淡水魚類、爬虫類・両生類、昆虫類、貝類、その他無脊椎動物(クモなど)、植物I(維管束植物)、植物II(蘚苔類・藻類・地衣類・菌類)があり、各分科会は10名程度の専門家で構成されています。
さらに各分科会で検討される1つ1つの動植物は、それぞれの動植物の専門家に関与してもらい、生息数・生息状況や減少要因などの評価ペーパーを記入・提出してもらいます。
ですので、各分科会では何百種という動植物の評価ペーパーの一つ一つに目を通しながら、ランク付けがされていくのです。
またその結果、公表されるレッドリスト・レッドデータブックは各分類群毎となり、公表時期もずれるわけです。
水産庁のレッドリスト・レッドデータブック
国のレッドリスト・レッドデータブックは、自然保護官庁である環境省から公表されます。
しかし、1998年(平成10年)に水産庁も水生生物のレッドリスト・レッドデータブックを出版しています。
「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」と名付けられていて、河川・湖沼の水生物に加え、環境省版では評価対象外となっている海の生物の絶滅のおそれを評価しています。
環境省では、水産庁との取り決めで、海の魚や鯨類はレッドリスト・レッドデータブックに掲載することが出来ません。いくら絶滅しそうな日本の生物でも、環境省は関与できないのです。
水産庁は海や川の漁業を振興する庁ですので、本来、動物保護を目的としたレッドリスト・レッドデータブックを公表する必要はありません。しかし、海の魚や鯨類は環境省を排除していますので、水産庁しかレッドリスト・レッドデータブックを作れないのです。
この水産庁版レッドリスト・レッドデータブックですが、たくさんの生物が掲載されました。しかし、その多くは、漁業者が獲って売って生計を立てていたり、他の魚の漁をしている際に混獲して死なせてしまっているものです。
そうなると、国内外の保護団体は黙っていません。
「獲ってはいけない」という苦情が水産庁や漁業関係者に寄せられるわけです。
水産庁は保護を目的とした省庁ではなく、漁業者の利益を出すための省庁です、困ってしまいますね。
その後、水産庁からは二度とレッドリスト・レッドデータブックが出版されていません。大人の事情というものです。
また、この水産庁版レッドリスト・レッドデータブックは絶版ですので、購入できません。図書館で見るしかありませんが、わずかな数が作られただけで、置いている図書館は非常に少ないです。
日本哺乳類学会のレッドリスト・レッドデータブック
日本哺乳類学会は、1997年に「レッドデータ 日本の哺乳類」を発表しています。
環境省のレッドリスト・レッドデータブックの初版は1991年に出ましたが、これは評価対象種数がきわめて少なく、結果として掲載種数もきわめて少なくなりました。また、世界自然保護連合(IUCN)が1996年に、レッドリスト・レッドデータブックに掲載する動植物のカテゴリーを決める新しい基準を公表しました。これらのことに対応するため、哺乳類学会が、きちんと哺乳類を網羅したものを独自に出版したのです。
このレッドリスト・レッドデータブックの中で一番特筆すべきは、ジュゴンの項目でしょう。当時で生息頭数が50頭を下回っているとし、非常に危機的状況であると書きました。おおよその生息頭数を初めて出した文献ではないでしょうか。
その後、環境省が2006年に公表した「ジュゴンと藻場の広域的調査」では、沖縄本島での生息頭数が10頭以下、それ以外の、かつてはジュゴンが生息していた奄美大島、石垣島、西表島などはすべて生息が確認できないということになりました。
地球上に生息する北限のジュゴンの危機的状況を伝えたのです。
2.野生生物保護に関する法規制 捕獲・採捕を規制する3つの法律など
レッドリストに掲載されるとどうなるの?
レッドリストに掲載されることは、その種の存続がとても危なくなってきているということです。ならば、危ない種はどんどん掲載して守っていけば、絶滅はなくなるはずです。
しかし実は、レッドリストに掲載された種であっても、取ったり食べたり売ったりすることにおとがめはありません。レッドリストは罰則のある法律を根拠に作られてはいないのです。
ですので、たとえば沖縄に生息するヤシガニは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類となっていますが、沖縄ではヤシガニ汁が高級なメニューとして普通に居酒屋で注文できます。野生のヤシガニを取って出しているのです。
沖縄本島では絶滅したはずのヤシガニが、最近になってやっと国営沖縄記念公園内でのみ750個体程度確認されました。でも、繰り返しますが、その750個体を全部取って食べてしまってもいいのです(他にヤシガニを保護する法律は沖縄本島にはありません)。
野生動植物を取ることを禁止する法律には、主に鳥獣保護法(1895年~)、文化財保護法(1950年~)、種の保存法(1992年~)があります。
鳥獣保護法(主管は林野庁から環境省へ。「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」)
鳥獣保護法は、哺乳類と鳥類を対象に、獲ってはいけない期間、獲ってはいけない場所、使ってはいけない道具などを決めています。違反して獲った場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
また、獲っていい動物として、29種類の鳥(スズメ、ヒヨドリ等)と18種類の獣(ノウサギ、タイワンリス等)が記されています。
法律の中に、保護に関する条文がある一方で、人や農作物に被害を与える場合の駆除に関しても書かれています。
例えばツシマヤマネコは、1949年には、鳥獣保護法によりその狩猟が禁止されました。
ツシマヤマネコの狩猟が禁止されれば、当然獲ってはいけないのですが、農作物に被害をもたらす場合などに、もし有害鳥獣駆除という手段で許可を得れば、獲ることはできるかもしれないということです(実際にはありませんでしたが)。
狩猟とは食料を調達したり、最近ではレジャーでするものですので、それは禁止するけれども、人間に害をもたらす場合には獲ってもいいということです。
例えばドバトは、同じく狩猟が禁止されていますが、農作物に被害を及ぼすので、有害鳥獣駆除の目的では今でもたくさん駆除されています。
「法律に基づき狩猟はダメな鳥です、でも有害なら駆除していいです」ということです。
文化財保護法(主管は文化庁)
文化財保護法には、天然記念物の制度があり、「天然記念物」、さらに特に重要なものは「特別天然記念物」に指定することで保護が可能です。
指定の基準は、「動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む)、植物(自生地を含む)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む)で我が国にとつて学術上価値の高いもの」(文化財保護法 第二条)の中で、重要なものを「天然記念物」に、特に重要なものを「特別天然記念物」にするとされています。
地質や鉱石の指定も可能ですので、例えば北海道の「オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地」や、岩手県の洞窟「安家洞」といったものがあります。
また、動植物種そのものを国内全体で保護するのでなく、「八代のツルおよびその渡来地」「高知市のミカドアゲハおよびその生息地」「長岡のゲンジボタルおよびその発生地」「沙流川源流原始林」といった、地域限定での保護も可能です。
天然記念物に指定をされると、文化庁長官の許可がない限り、獲ったり、採ったり、伐採したりできないようになります。
また、地方自治体によっては、自治体独自で天然記念物を指定し、条例で捕獲等を規制しているところもあります。
種の保存法(主管は環境省。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」)
種の保存法には、「国内希少野生動植物種」という制度を通じて、絶滅のおそれのある生きものを保護する方法があります。
では、国内希少野生動植物種に指定されるとはどういうことでしょうか。
これは天然記念物と共通していますが、一般人は獲ることはもちろん、触れることもできません。羽根など、個体の一部を拾ってもダメです。
種の保存法で違反した場合、個人の場合、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、法人の場合、1億円以下の罰金となっています。
触れることが出来ないので、傷ついている個体などを見つけたら、都道府県や環境省に連絡し、その担当職員のみが触れて回収することが許されます。例えば、自分の土地の畑に、国内希少野生動植物種に指定された昆虫が死にそうになって横たわっていても、自分で取って移動することさえ法律違反になり罰せられるということです。
このような規制がありますので、商業的な利用が禁止されます。例えば、法律ができる前に取ったツシマヤマネコのはく製や毛皮などがあって、それを売買したければ、過去に取ったものであることを証明する書類がある場合に限り許されますが、どこの誰がそれをきちんと証明できるのかということを考えると、実質的に不可能ということです。
捕獲が許される場合は、繁殖・学術研究目的のみで、捕獲を許される者は、大学等の研究機関の研究者や獣医、また大学等で研究実績のある環境省のアクティングレンジャー(自然保護専門員、アクティブレンジャーはその補佐役)といったその動植物の専門家です。
ですので、国内希少野生動植物に指定する場合には、レッドリスト・レッドデータブックや科学論文等で、その動植物種が絶滅のおそれがあることが科学的に確認されていることが必要になります。ここが天然記念物と異なるところです。
天然記念物の場合には、絶滅のおそれの有無ではなく、「この場所では珍しいから」とか「地域の住民にとって大事だから」というような理由で指定することも可能です。
加えて種の保存法では、国内希少野生動植物種に指定されている個別の種ごとに「保護増殖事業計画」というものを作成し、その種の生息地の整備等の事業を国が推進することが出来ます。
例えば、「ツシマヤマネコ保護増殖事業計画」では、飼育下で繁殖したツシマヤマネコの個体を対馬の野生環境に再導入(野生復帰)することが計画されています。
自治体の希少野生動植物保護条例
種の保存法は国内で絶滅しそうな動植物を指定して保護することが出来ます。しかし、国内全体ではたくさんいるのだけれど、ある特定の県や市、地域で絶滅しそうな場合には、指定をすることができません。なぜなら、数の大幅な減少や全体数の少なさがなければ、種の保存法で国内希少野生動植物に指定することができないからです。
そこで各自治体は、地域限定で動植物を保護するために、一般に「希少野生動植物保護条例」といわれる条例を定めて、罰則を決めて捕獲・採捕を禁じています。
例えば「静岡県希少野生動植物保護条例」では、南アルプスに生育する「ホテイラン」「ホテイアツモリソウ」「キバナノアツモリソウ」「タカネマンテマ」などの希少な植物や、「ヤリタナゴ」「カワバタモロコ」などの魚の捕獲・採取を禁じていますが、これらは国の「国内希少野生動植物」には指定されていません。
南アルプスの植物の場合、地域が既に保護されていて数の大幅な減少が見込まれませんし、「ヤリタナゴ」などの魚類は、他の都道府県でも少しは確認されていて国全体で今すぐに種の保存法での保護が必要ないとみなされるからです。
3.ワシントン条約と種の保存法の「国際希少野生動植物種」
日本で「国内希少野生動植物種」に指定されることは、国内での様々な規制を意味しますが、日本の法律が適用されない海外に持ち出したらどうなるのでしょうか。
それを決めるのが、ワシントン条約(CITES サイテスと通称しています)です。種の保存法では、「国際希少野生動植物種」というものも定めて、国際的な取引を規制していますが、その根拠となる国際的な取り決めとして、ワシントン条約があります。
ワシントン条約を批准している各国は、自国の野生動植物についてワシントン条約にもとづく「付属書」というものに掲載することで、他の条約批准国との取引を許可・取り締まることが出来ます。日本ではそれが、種の保存法に基づく「国際希少野生動植物種」に掲載するということで、「国際希少野生動植物種」に掲載すると、ワシントン条約の付属書I(後述)に掲載された扱いになります。
時々、アフリカゾウの象牙や、立派なオスの虎の毛皮などの闇取引、最近では生きたままの珍しい蛇やカメのペット業者による密輸と個人売買などが、密輸先の国、空港や個人宅等で見つかり、ニュースになりますよね。国外に持ち出した場合など、各国の政府がワシントン条約にもとづき、取り締まるということです。
取り締まりの対象は、生きた個体だけではなく、はく製や毛皮、骨、鳥の羽など体の一部分であっても含まれます。また当然ですが、それらを製品に加工したりして売買することも規制の対象です。
付け加えると、ワシントン条約に掲載されれば何が何でもダメということではなく、掲載されていても、野生のものの捕獲ではなく、条約ができる以前から飼育している個体やその子孫から生まれたことを証明する繁殖証明書があれば商業的な取引が可能なものなど、掲載される付属書には種類(付属書I、付属書II、付属書IIIの3つ)があります。
また、今までのレッドリスト、種の保存法、ワシントン条約の関係でいうと、ワシントン条約で規制の対象となっている種とレッドリスト掲載種は一致するわけではありません。
ワシントン条約は、経済活動のための国際取引によって(要するに、お金儲けということです)動植物が絶滅しそうになるのを防ぐことを目的としています。ですので、絶滅のおそれがあっても、経済活動のための国際取引があり得ない生きものの場合は、条約の対象種として掲載されていません。
4.まとめ
絶滅のおそれのある生きものを明らかにし、その捕獲・採捕と国内・国際的な取引を規制する2つの資料・4つの法律・条約の関係をみました。
レッドリスト・レッドデータブックは、絶滅のおそれのある生きものを調べ・公表する資料です。
鳥獣保護法・文化財保護法・種の保存法では、国内のさまざまな生きものを保護することが出来ます。
そして生きものの国際的な取引は、種の保存法とワシントン条約で規制されるということです。
併せてこちらもどうぞ
・イリオモテヤマネコの特徴、保護活動や減少している原因を紹介します。
・イリオモテヤマネコ発見まで
・西表島の生物
・ツシマヤマネコの保護の現状と守るためにできること
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