アブラゼミの鳴き声や名前の由来
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最終更新日:2018/07/20
生きもの(Living thing)
7月終わり頃から大合唱を始めるアブラゼミ。
午後の3時過ぎあたりからよく聞こえるようになり、時々夜中でも鳴いています。
名前の由来,鳴き声や分布の傾向,そして他のセミと鳴き声の比較もしてみましょう。
1.アブラゼミの鳴き声と名前の由来
「アブラゼミ」という名前がついたのは、鳴き方が「油で揚げているような音」だからです。
最初「ジッジッジッ」と勢いをつけるように鳴き始め、勢いがついたら一気に「ジジジジジジジ~」が20秒ほど続き、最後は「ジ…ジ…ジ…ジ…ジ…」と尻すぼみに終わります。
映像でもわかるように、全身黒褐色~茶色です。成虫の羽根が不透明なのは世界でも珍しいようです。
体長は6センチ程度ですが,近くで鳴かれるとかなり強烈な鳴き方をするセミです。
2.アブラゼミの分布と減少要因
アブラゼミは成虫も幼虫も暑くて湿度の高い気候を好むとされています。
暖冬で雪が少なかったりして、幼虫が冬場に乾燥にさらされると生育に良くないようです。
昔はセミといえばこのアブラゼミでした。
しかし、都市化による緑地の減少、温暖化の影響から来る都市部でのヒートアイランド現象と乾燥化などで、現在はかなり生息地域が偏っています。
たとえば、札幌では以前はアブラゼミが多くみられたのに、都市化などで今では数が激減し、探しづらくなっています。
東北地方の太平洋側の都市部でもかなり減少し、特に冬の乾燥化が疑われています。
一方で、日本海側の秋田市や、内陸の山形県の庄内地方では、冬に雪が多いためか、はたまた夏の暑さが比較的厳しいのか、アブラゼミはさほど減少していません。
関東地方では、まだまだ多数生息していますし、関東以西の日本海側や四国・九州でも、他のセミに比べて優勢を保っています。
一方で、西日本の大阪や広島といった大都市では生息数が減少しているようで、比較的乾燥に強いクマゼミが代わりにじわじわと優勢になってきているようです。同じように東京では、乾燥に強いミンミンゼミがじわじわと増えてきているようです。
これらを総合すると、やはり都市部ではアブラゼミが減少していて、暑さや乾燥に強い南方系のクマゼミや、幼虫が乾燥を好むミンミンゼミが増えてきていると言えます。
3.ほかのセミはどう鳴くの?
ツクツクボウシとヒグラシは特徴があるのですぐわかります。
ミンミンゼミ (photo photoAC)
クマゼミ (photo photoAC)
ミンミンゼミもはっきり「ミーンミンミンミン…」と聞き取れますね。
黒地に緑色や水色の模様があり、羽根は透明です。体長は3.5センチほど。
体に比べて羽根が大きく、全体の長さはアブラゼミと同じくらいになります。
幼虫は乾燥した土を好み,その意味で都市向きなので東京、横浜、仙台の市街地にもいますが、元々暑さに弱く涼しい所を好むため主な生息地は森林地帯で、午前中によく鳴いています。
クマゼミは体長6~7センチと、日本で最も大きいセミのひとつです。
全身黒ですが、腹部に白い斑点が2つあります。羽根は透明。
7月~9月の初め頃まで、日の出から午前中に「シャンシャンシャンシャン…」と大声で鳴き,鳴き終わるとすぐ他の所に移動します。
1本の木に一斉に止まる習性があります。
とても手足の力が強いセミなので、捕まえる時には注意が必要です。
西日本に多く生息し、北日本にはいないとされています。
4.なぜ鳴き声が違うの?
セミは体内に発生器があり、筋肉で鼓膜を振動させています。
その振動させ方や発音器の大きさ・形が違うので、鳴き声が違って来るのです。
鳴くのはオスだけです。
鳴いているのは求愛のため。同じ種類のセミを探しやすいように、鳴き声や鳴く時間が違うのだそうです。
更に、鳴いた後ミンミンゼミやクマゼミはすぐ他の木に移動してメスを探し、アブラゼミはずっと同じ木にいてメスが来るのを待っています。
彼女を探す方法も色々なのですね。
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