森のようちえん 東京や大阪にもあるの?
公開日:
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最終更新日:2018/02/11
スウェーデン(Sweden), 北欧(North Europe), 生活(Life)
最近、少し耳にするようになった「森の幼稚園」。
この園は、都会も含めて日本全国に存在し、幼稚園児のみならず、保育園に通う児童でも利用することができます。また、森だけでなく、海や川などの自然を舞台に教育・保育が行われています。
**目次**
1.我が家の息子の遊び場は、自然が豊か。それでも森の幼稚園のことは知りたい
「森のようちえん」という言葉をあなたは聞いたことがあるでしょうか?
数ある幼稚園の中でも特別なことをしている幼稚園であって、日本のどこかにあるのかな、といったイメージを持っているかもしれません。
私には、まだ小さな息子がいます。将来は幼稚園、もしくは保育園か認定こども園に入る予定ですが、今はまだ朝から晩まで(夜中ももちろん)一緒に過ごしている毎日です。
自然が豊かなエリアに住んでいるので、ちょっと車を走らせれば森のある公園があり、どんぐりをひろったり、落ち葉の上をガサガサと音を立てて歩いたり、と大自然の中で遊ぶことはそう難しいことでありません。
一方、近所のこども園の園庭解放に行って遊ぶこともあります。そこでは、息子より年の大きい園児が話しかけてくれたり、おもちゃを貸してくれたりしてくれて、母と子二人の遊びでは得られないものがあります。
さて、森の幼稚園に話を戻しますが、「幼稚園なのだから3歳以上の子どもが通園している特別な園を指すのかな」と思ってしまう人もいるでしょう。
森の幼稚園は、どんなふうに特別なのか。想像は膨らむばかりで、「森の幼稚園と言うからには、人里離れた里山で、豊かな自然の中に園舎があり、そこで活動しているのかな」などと思い浮かべてしまいます。
幼稚園と保育園の違い
ここで幼稚園と保育園の違いを軽く説明します。
どちらも子どもが通う場所ですが、この二つには大きな違いがあります。
ざっと説明するとまずは根拠となる法律が違います。幼稚園は「学校教育法」であって、保育園は「児童福祉法」なのです。そして、前者は「学校」の一つと位置付けられ、後者は「児童福祉施設」の一つと位置付けられているのです。
他にも、対象年齢が異なります。幼稚園は満三歳から、保育園は満一歳に満たない乳児から入ることができます。
園にいる時間については、幼稚園は4時間を標準としており、一方保育園は原則8時間となっています。
なお、認定こども園は、幼稚園と保育園を融合させたもの、とよく言われます。ですが、今回の話題では詳細は割愛します。
2.森のようちえんは日本全国に存在している!
「森のようちえん」というのはある特定の園を指して、それは自然豊かな、人里離れた里山にあり、人口の少ない過疎地で、人数が少ないからこそ素晴らしい教育ができる園なのだろう、だからこそ取り上げられるのではないかと。
実は、そうではありません。
森のようちえんには「森のようちえん 全国ネットワーク」という全国規模のネットワークがあります。
私の住む県にも複数「森のようちえん」があり、そのうちいくつかは、すこし遠いけれども車で行くことができる場所に存在しています。
これには私も驚きました。知らないだけで、森のようちえんは私の身近なところにもあったのです。
サイトを見ていくと、東京都にも多く存在しているということに驚きます。東京都、コンクリートジャングルと言われますし、森があまりないイメージです。それでもたくさんあるのです。なぜ首都東京にもたくさんあるのか、それについては次に続きます。
3.森だけじゃない、海や川でも森のようちえん!
文字のイメージと言うのは鮮烈なもので、「森」と書いてあれば、人は頭の中に自分の持っている「森のイメージ」を思い浮かべます。細かな違いはあれど、多くの人は「木がたくさんある場所」になるのではないでしょうか。小学校では、木が三本で森、と習ったくらいです。
しかし、森の幼稚園の存在場所、活動場所は森だけではありません。森だけではなく、畑、海、川、ひいては都市公園までがその範疇に入るのです。言ってみれば、自然体験ができるフィールドを広く指しているということなのです。
なるほど、だから東京都にもたくさん存在しているのだ、とその謎が解けました。
私の住んでいるところにあるような大きな、様々な種類の木が生い茂っていて遊歩道があって、という森はなくとも、都市公園はあるし、川もある。ですから、東京都にも森のようちえんがたくさん存在しているということなのです。
4.3歳以下でも保育園でも大丈夫!それが森のようちえん
先のところで、幼稚園は満三歳からと書きましたが、そうなるとうちの息子はまだ森のようちえんには行けないのだな、とちょっと残念な感じがする人もいるでしょう。
しかし、そうではありません!さらに調べてみると、3才以下の子でも参加ができるのです。
対象年齢は乳児、幼少期の子どもたちです。乳児と言えばゼロ歳児のことです。そして幼少期となると一般的な幼稚園や保育園に通っている子どもの年齢にあたります。
言ってみれば、何歳児でもOKということなのです。そして、「ようちえん」とは言っても、文部科学省認定の既存の幼稚園のことではなく、保育所や学童保育、自然学校や子育て広場などもその範疇に入っているのです。幅広い位置づけがなされているのです。
「森のようちえん」というのはあくまでもその運営主体の相称であって、その中身は、認可幼稚園や保育園、子育てサークル、自然体験活動団体などと多岐にわたります。そして、活動内容も、その運営主によって様々、対象年齢も様々、という事になります。
5.どこからなぜ始まった?
このような内容の森のようちえん、どこから始まったのでしょうか。
森のようちえんの発祥は北欧、デンマークにあると言われています。
北欧は自然が豊かです。
例えば、北欧の中でもスウェーデンには、「自然享受権」という国民の権利があります。これは、自然はみんなのもの、共有財産、という考え方です。私有地であっても、だれでもそこに入って、お花を摘んだり散策したり、と自然を楽しむことをしてよいのです。
もちろん迷惑をかけないなどという最低限のルールはあるのですが、自然に対するとらえ方がとてもおおらかなのが、北欧スウェーデンなのです。
同時に、スウェーデンの自然はとても厳しいです。
北極圏に行けば、沈まぬ太陽が見られる白夜の夏を楽しむこともでき、同時に日照時間が限りなく短くなり、凍てつく寒さの冬もそこには存在しています。
スウェーデン人の自然保護に対する考え方は、日本人の多くが見習うことができるものです。子どものころから自然に接して行く中で、自分が自然を楽しむのと同様、他の人も楽しむことを理解していくのです。
自分が自然を楽しむためには、自然を守っていかなければならない。そうするためにはどのようなアクションを起こすべきなのか、起こさなければいけないのか、ということが森と共に暮らしていくなかで育まれていくのです。
ここでいう「森」というのも前に述べた幼稚園の事と同じで、「森」だけにはとどまりません。たくさんある湖であったり、小さな林であったり、畑であったり川であったり、と言葉は違えど、これらを総称して、自然・森と捉えているのです。
一方で、日本はどうでしょうか。
豊かな四季があります。花に恵まれ、秋には色づいた木々が森を染めます。自然が美しく変わっていく環境に我々は生きています。
自然享受権という権利はありませんが、自然を守っていこうという考えは我々の中に存在しています。
共有の場所である公園にはごみを捨てない、他人の迷惑になる行動は起こさない、などという考えが強制されずとも心の中に持ち合わせているのが日本人なのではないでしょうか。
しかし、時代が変わっていくとともに私たちを取り巻く環境も変わっていくのは事実です。
今まで広場があったところは駐車場になり、森は切り開かれ宅地になり、または大型商業施設が建設されたり、と世の中は姿を変えていきます。
子どもを取り巻く環境はどうでしょうか。
この30年を見てみても、30年前は無かったものが世の中にあふれています。携帯電話は一人一台、テレビも各部屋に一台、子どもたちはゲームに熱中し、顔を合わさずに友達と交流をしています。
確かに世の中は便利になったでしょう。しかし、それに伴い我々が失っていったものが多いのも事実です。
子どもの体力低下、自分から動けない、集団行動ができない、などの報告もでてきています。
これはなぜなのでしょうか。
6.自然と向き合うことは自分と向き合うこと
子どもに焦点をあてて考えてみましょう。ゲームやおもちゃはとても楽しいものです。夢中になって遊ぶ、それも悪いことではありません。しかし、ゲームやおもちゃは全てやり方が決まっています。要は、プログラミングがなされている、ということなのです。
一方、自然はどうでしょうか?何が起きるかわかりません。枝にぶら下がればそれが折れて尻もちをつくかもしれません。枝を手にしたら、とげがあってけがをするかもしれません。落ち葉をかきわけていったら、たくさんのドングリを発見するかもしれません。
自然は何が起きるかわからない、未知のものです。だから子どもは自分で工夫をします。自分で楽しみ方を見つけます。楽しかったらそれを続けるし、さらに工夫します。つまらなくなったら、他の方法を見つけ出します。
遊び方は100人いたら100のやりかたがあるのです。プログラミングがされていないから、怪我もするし発見もする。大人は先回りして、危ないから、とか汚れるから、と制止しがちですが、あなたはどうでしたか?自分が小さかったときのことを思い出してください。夢中で遊んだ経験がたくさんあることでしょう。
自然は最高の遊び相手です。同じ葉っぱは二枚とないし、景色だって今日と明日では違ってきます。なにより、戸外で体いっぱい動かすことは、心にも良いことなのです。
7.森のようちえん 大人も学ぶ場です。
前述のように、今は子供が自然と接するには、わざわざアクションを起こさなければならないのも事実です。週末に車を運転してわざわざ遠くに行かなければ広い公園が無い、という人もいるでしょう。でもそれでも「わざわざ」行動を起こしてほしいのです。
理由は簡単。子どものためです。
同時に親である私たちのためでもあるのです。
その方法として、森のようちえんに参加してみましょう。
運営主体によって様々でしょうが、森のようちえんの中には、体験日を設けている所、月に一回誰でも参加できる日を設けているところなどもあります。毎日通うのは無理でも、月に一回などであれば、敷居も低いのではないでしょうか?
親と子だけで自然の中で遊ぶのも良いことです。でもついついやってしまいがちなのは、
あれダメ、これダメ、
と言ってしまう事。
頭では分かっていても、つい口からでてしまうんですよね。仕方ないです、親である以上、心配は付きまといます。
でも、本当に本当に危ないとき以外は見守ってあげることも子どもの為です。どうぞたくさん汚してください、砂まみれ、泥まみれになってください、とこの日ばかりは親も変わってください。意外とあれこれ言わない方が気が楽だ、ということに気が付くかもしれません。しかし、目を離すことは無いように。しっかり見守ることは忘れないでください。
まずは自分が行ける、行ってみたい森のようちえんを探してみてください。そこからアクションは始まります。
8.最後に 森を豊かにする教育を
北欧の人気が高まっている昨今、そのほとんどはデザインの良い食器などの目に見える物であると感じていました。
しかし、そうではなかったのです。この森のようちえんも北欧発祥。それが日本でも少しずつ浸透しているということは、ここから多くのものが学べると分かったから、そしてそれが日本にも合っているから、ということだと思います。おそらく、今後さらにこの森のようちえんは増えていくのではないでしょうか。
早期教育より自然教育。木が育ち森を作っていくように、自然活動した子どもたちが増えていけば、将来の「日本=森」も豊かになっていくのではないでしょうか。
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現在池袋に、在住しております。毎週末森のようちちえんをヤっているところを探しています。検索すると森のようちちえんのほとんどが、平日のようなのですが、週末行っている都内近郊の森のようちちえんをご存じでしたら、教えていただけますでしょうか?
akiko様
池袋に在住ですか。うちは川崎(といっても、このHPにはいろんなライターさんが参加していますので、管理人のことです)です。
考えてみれば、週末に森のようちえん・ほいくえんに行きたい需要って、東京などの都会ではすごくありますよね。
でも調べてみても東京にはないようですね。山梨などで週末クラスをやっているところが出てきました。
うちもそうですが、お母さんたちはショッピングモールの中にあったりする遊戯施設に子供を連れて行って遊ばせてます。結構混んでいるので、子供にとってはストレスがあるのかもしれませんが、それでもすごく楽しそうに遊んでいます。
ちょっとお金はかかりますが、ときどき町田の「こどもの国」か立川の「昭和記念公園」のこどもの森などに足を延ばします。誰かが見てくれるわけではありませんが、広いので、子供は自由にいろいろ遊んでくれます。ハラハラして見てますが。。。
他にも昭和記念公園ほどの遊びはないですが、目黒の林試の森公園は、雰囲気が良くてお勧めです。
東京都内の公園なら東京都公園協会のHPで探しています。
morigasuki
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