雲取山の全登山ルート7つを紹介 初心者が挑むものからベテランのルートまで

公開日: : 最終更新日:2019/09/03 アウトドア(Outdoor), スポーツ(Sports), 登山(Climbing)

雲取山(2017.09m)は東京都最高峰の山で、日本百名山の一つでもあります。

「日本百名山」の中で深田久弥は、
「煤煙とコンクリートの壁とネオンサインのみがいたずらに増えて行く東京都に、原生林に覆われた雲取山のあることは誇っていいだろう」
と書いています。
雲取山は実際、放射状に配置されたあまたの小山脈がつなぎ合わされ太い山脈となり、さらにその最奥に鎮座する懐の深い山です。
気軽にチョコっと日帰りできる山ではありません。

鷹ノ巣山より見た雲取山  (photo by Mass Ave 975)

通常はどのコースを選んでも標準コースタイムで1泊2日の行程となりますが、早朝に出発し、健脚の方であれば日帰りが可能なコースもあります。
高尾山や箱根などのハイキング的な登山からさらにステップアップしたい人が次に目指す山の一つです。

(1)鴨沢からのコース、(2)三峰神社からのコース、(3)富田新道を通るコース、(4)赤指尾根を通るコース、(5)丹波山温泉からのコース、(6)石尾根を縦走するコース、(7)二軒小屋尾根コースの7つのコースを紹介します。
また、雲取山には様々な尾根や林道があり(掲載している地図上にすべて書きました)、尾根と林道の組み合わせにより、30以上の無数のコースを作り出すことが出来ます。

自分でルートを選ぶ楽しさもありますが、迷った時には奥多摩駅近くにある奥多摩ビジターセンターで聞いてみるのも手です。

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1.雲取山の主要ポイントと各コースのルート地図

雲取山の主要ポイントと、今回ご紹介するコースの地図を作成しました。

各コースを参照したい場合は、地図の左上の四角いボタンを押してから、各コースの名前の付いたレイヤーボタンを押してください。

スマートフォンの場合は、一度地図をクリックして、別ウィンドウで全画面表示を立ち上げてから、画面下のタイトル表示「○○の主要ポイント(morigasuki.net)」部分の白枠を押せば、各コースを選ぶことが出来ます。

パソコンでの別ウィンドウでの全画面表示は、地図の右上の四角いボタンを押してください。

地図上に書かれた各コースのルートは、手書きで作成しており、正確に記していますが、微妙にずれていることもありますので、大体の目安とお考えください。

雲取山の主要ポイント。各コースはレイヤーを選択すると見られます。

この地図をグーグルマップ上に表示させて、登山中に現在位置を確認することもできます。
PCやスマホで使う場合の詳しい設定方法を書きましたので、ご覧ください。

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2.山小屋・避難小屋の紹介

雲取山登山で利用可能な7つの山小屋・避難小屋の情報を掲載します。

 

 

山小屋等名称

標高

所在地 収容人数 キャンプ指定地 水場

開錠・営業

連絡先

費用等

1

雲取山荘

1,891m

山頂北側直下 200人 テント50張 あり

通年

0494-23-3338

1泊2食7800円、素泊り5300円、テント500円(要予約)、お弁当1000円 
2

雲取山避難小屋

2,000m

山頂 約20人 なし なし

通年(無人)

0428-83-3271(東京都奥多摩自然公園管理センター)

3

三条の湯・丹波山荘

1,103m

後山林道終点付近 80人 テント15張 あり

通年

0428-88-0616

1泊2食8200円、素泊り5700円、テント600円(要予約)、お弁当800円
片倉谷ゲートまでは車乗り入れ可
4

奥多摩小屋

1,750m

山頂南側尾根 70人 テント10張 あり

通年

0494-23-3338
閉鎖については
0428-83-2295 (奥多摩町観光産業課)

素泊り4000円(自炊のみ)、テント500円(要予約)
平成31年3月31日閉鎖(老朽化)。閉鎖に伴い、テント泊及びトイレの利用も不可。
5

七ツ石小屋

1,597m

七ツ石山 15人 テント10張 あり

通年

090-8815-1597

素泊り4000円(自炊のみ)、テント500円(要予約)
AED(自動体外式除細動器)あり
6

鷹ノ巣山避難小屋

1,560m

鷹ノ巣山 10人 テント10張 あり200m

通年(無人)

0428-83-2037(奥多摩ビジターセンター)

7

霧藻ヶ峰休憩所

1,485m

霧藻ヶ峰 10人 なし なし

土日

090-7415-2016

週末に、不定期に飲食料販売あり

 

雲取山荘、三条の湯・丹波山荘、奥多摩小屋、七ツ石小屋のどの山小屋も、テント泊の際にも予約が必要となっていますので、連絡先を確認の上で予約されてください。
奥多摩小屋は2019年3月31日で閉鎖されました。

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3.各コースの紹介

雲取山山頂に直接つながる尾根は3つですが、各尾根には、富田新道、石尾根、二軒小屋尾根など、無数の尾根や林道がつながっているため、細かく分ければ、雲取山登頂には無数のコースが存在します。

その中で、(1)鴨沢からのコース、(2)三峰神社からのコース、(3)富田新道を通るコース、(4)赤指尾根を通るコース、(5)丹波山温泉からのコース、(6)石尾根を縦走するコース、(7)二軒小屋尾根コースの、代表的な7つのコースを紹介します。

雲取山山頂までの全ての尾根や林道は、「雲取山の主要ポイントと各コースのルート地図」に掲載していますので、参考にされてください。
掲載している中で、大ダワ林道を除いて、すべて登山者が通行することが出来ます。

雲取山へのコースはどれも、往復で標準タイムが9時間を超えるものばかりで、健脚の人でも6時間強かかります。
早朝に出発して日帰りできそうでも足腰に自信のない場合、無理をせずに1泊2日の行程としましょう。

コース1.鴨沢からピストン 又は 三条の湯周遊 一番人気のコース  経験を積んできた初心者にオススメ(往復 9H20M、一般的に1泊2日)

雲取山へは鴨沢からのこのコースが最短となり、もっとも人気のあるコースでもあります。
最短と言ってもそれなりの距離ですので、無理をせずに雲取山荘や七ツ石小屋、丹波山荘(三条の湯)などでの宿泊と組み合わせることも考えましょう。

歩く距離は長いですが、特に危険なところがなく、標高差のある長い距離をじっくり歩いてみたい方にとっては、もってこいのコースです。
標準タイムで往復9H20Mとしていますが、健脚な方なら7H弱で往復してしまいます。

帰りのバスの最終便は18時台や19時台もありますが、暗くなるので、16時台の便には乗りましょう。


ルートは以下の通りです。


鴨沢バス停540m~(30M)~小袖乗越750m~(1H45M)~堂所~(50M)~七ツ石小屋~(35M)~七ツ石山~(10M)~ブナ坂~(40M)~雲取奥多摩小屋~(25M)~小雲取山1937m~(30M)~雲取山2017m~(20M)~雲取山荘1891m (登り 5H25M)

雲取山荘1891m~(30M)~雲取山2017m~(20M)~小雲取山1937m~(20M)~雲取奥多摩小屋~(30M)~ブナ坂~(15M)~七ツ石山~(25M)~七ツ石小屋~(30M)~堂所~(1H15M)~小袖乗越750m~(20M)~鴨沢バス停540m (下り 3H55M)

又は下りを三条の湯経由で、

雲取山2017m~(20M)~三条ダルミ~(1H55M)~三条の湯・丹波山荘~(25M)~後山林道終点~(1H)~塩沢橋~(1H20M)~お祭バス停564 m (下り 5H)

スタート地点の鴨沢バス停へは、車かバスを利用します。
車の場合、バス停隣に10台ほどが停められる無料の駐車場があり、他にはすぐ近くの雲取山登山道入口近くに、50台ほどが停められる、無料の丹波山村村営駐車場を利用します。どちらの駐車場にも水洗トイレがあります。

バスの場合、奥多摩駅から鴨沢バス停まで34分(690円) で、奥多摩駅始発は朝6時過ぎからほぼ1時間おきにありますが、2つ手前の留浦バス停止まりの便もあります。そこから鴨沢バス停までは歩いて10分(700m)ほどです。

また朝の奥多摩駅は登山者で混雑します。青梅線の立川や青梅あたりから多くの乗車があり、列車や各方面への路線バスが混雑します。

登山に利用する留浦バス停にも、鴨沢バス停にも、水洗の綺麗なトイレがあります。
また、鴨沢バス停ベンチ奥には登山ポストがあり登山届を提出できます。

スタートするとアスファルトの道から舗装されてない道に進み、すぐに丹波山村村営駐車場と小袖乗越に着きます。

小袖乗越から鴨沢登山道入り口へ進み、なだらかな山道を登ります。
鴨沢コースは全体的になだらかですので、各登山者の歩くスピードで、登山タイムに差がつきやすいコースです。

風呂岩(すいほろいわ)は、平将門が逃げる際に湯を沸かし一風呂浴びて疲れを癒したと言われる場所です。その後、七ツ石山を目指して登ったと言われています。

堂所に到着すると休憩する人もいますが、まだまだ長い道のりです。森の中の同じような景色を延々と歩き続けます。

堂所を過ぎ小一時間歩くと、七ツ石小屋に着き、休憩することが出来ます。
通年営業の山小屋で、飲食物の販売もあります。
またAEDを備えていますので、万が一の際には利用できます。

七ツ石小屋を超え、七ツ石神社まで来ると稜線です。
稜線に出ると広い尾根筋の道があり、景色の良い山歩きを楽しむことが出来ます。

七ツ石神社は尾根筋にある小さな祠で、風雪で潰れないよう木に囲まれるように置かれています。
平将門のお共をした7人の武士の霊を祀っているのが七ツ石神社で、7人の武士が変わったとされる7つの石は、山頂付近にちらばる石灰岩の巨岩とされています。

七ツ石神社を過ぎ50mほどなだらかに登ると、七ツ石山山頂です。
山頂からは雲取山へと続く尾根や、南アルプス、富士山などを綺麗に眺めることができます。

また体力を温存するために、七ツ石神社、七ツ石山のある石尾根へと進まずに、七ツ石小屋から七ツ石山の巻道を進みブナ坂で稜線に合流することもできます。
このページに掲載した地図でご確認ください。

ブナ坂を超えると、雲取山へと続く見晴らしの良い稜線を緩やかに登っていきます。
南北の視界が開け、気持ち良い歩きが出来ます。

登りが平坦になると広い土地にヘリポートが現れ、そこを過ぎるとすぐに奥多摩避難小屋のテン場、そして奥多摩避難小屋です。
山々の素晴らしい景色を眺めながらテントを張りくつろいでいる人を見かけます。

奥多摩避難小屋、ヨモギノ頭を過ぎると、しばしの緩やかな道の後、小雲取山山頂直下に新田新道への分岐があり、最後に小雲取山への急な登りが始まります。
小雲取山山頂は、登山道から右にそれ1分ほど歩くと到着です 。特に良い景色があるわけではなく、山頂は木々の間にあり、笹で覆われた平坦な場所です。

山頂から尾根道に戻り、良く整備されている、なだらかな登り道を雲取山に進みます。
雲取避難小屋がすぐ近くに見え、そのすぐ先が山頂です。

最後に急坂を上り山頂に着きます。
2017年に建てられた雲取山2017mの石柱や、方位盤、一等三角点などがあります。
近くの飛龍山や、遠く富士山、甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳を眺めたり 、長沢背稜や石尾根などを見ることが出来ます。

下りは同じ道をピストンする以外に、三条の湯を経由することもお勧めです。鴨沢コースと比べて人が少なく、比較すると静かな山歩きが出来ます。
宿泊する場合の宿は、雲取山荘や雲取山避難小屋とするか、三条の湯のある丹波山荘まで降ります。

三条の湯・丹波山荘に行くには、三条ダルミを経由して下山します。
雲取山避難小屋から稜線の急坂を下り、平坦な三条ダルミ に着きます。
三条ダルミから稜線を外れ、三条の湯への急な下り道を進みます。
林の中の道は整備されておらず、きつい傾斜と凹凸で足首を痛めないように下りましょう。

三条の湯・丹波山荘では温泉に入ったり、休憩して飲食をすることが出来ます。
山登りでなく、温泉のためだけに来ている人もいます。
丹波山荘は外観に風情があり、トイレ、水などもあります。
温泉は4人ほどでいっぱいの湯船が2つありますが、混んでいない場合は1つだけ湯船を使い、1時間毎に男性・女性の交代制となります 。
ph10.3のアルカリ泉で、いわゆる美肌の湯となります。アルカリ作用で角質が柔らかくなり、皮脂などが乳化され溶かされてしまいます。そしてツルツルの肌になるのです。

三条の湯からは、ゆるやかな下り道を下り、後山林道終点に着きます。
そこからは後山林道を下り、塩沢橋、片倉橋と通過し、最後にお祭バス停に着きます。
お祭バス停付近には、駐車スペースもあります。

お祭バス停からの奥多摩駅行き路線バス便は、鴨沢バス停よりも少なく、一日に数便しかありません。この原稿執筆時点で、最終便は18時台にあるようですが、その前が15時台ですので、時間管理をしっかりしましょう。

鴨沢バス停からさらにバス停2つ分(約700m)下り、留浦(とずら)バス停に行くと、鴨沢バス停よりも奥多摩駅行きのバス便数が2倍程度に増えて便利になります。

三条の湯経由でお祭バス停に下山しても、鴨沢バス停に下山する場合と殆ど標高差は変わりませんが、下山時間は1時間ほど増えます。

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コース2.三峰神社ルート 三峰神社から白岩山を経て雲取山  中級者以上(往復 10H25M、一般的に1泊2日)

スタートは三峯神社バス停のある三峰ビジターセンターからでも、さらに下った三峰神社表参道鳥居(大輪バス停)からでも可能です。
一般的には、より山頂まで近い三峰ビジターセンターまで車やバスでアクセスして登り始めます。
三峯神社前の秩父市有料駐車場には駐車場があり(500円)、 駐車場内にはトイレと休憩所もあります。


ルートは以下の通りです。
※三峰神社表参道鳥居からでなく、三峰ビジターセンターまでバスで上がって出発するのが一般的です


[三峰神社表参道鳥居380m~(1H40M )~]三峰ビジターセンター1060m~(40M)~妙法ヶ岳分岐~(40M)~炭焼平~(50M)~霧藻ケ峰1523m~(15M)~お清平~(1H)~前白岩山1776m~(20M)~白岩小屋跡1764m~(30M)~白岩山1921m~(30M)~大ダワ~(30M)~雲取山荘1891m~(30M)~雲取山2017m (登り 5H45M)

雲取山2017m~(20M)~雲取山荘1891m~(20M)~大ダワ~(30M)~白岩山1921m~(20M)~白岩小屋跡1764m~(20M)~前白岩山1776m~(45M)~お清平~(15M)~霧藻ケ峰1523m~(40M)~炭焼平~(35M)~妙法ヶ岳分岐~(35M)~三峰ビジターセンター1060m[~(1H20M)~三峰神社表参道鳥居] (下り 4H40M)

三峰神社表参道鳥居への最寄りは、大輪バス停です。
車の場合、大輪バス停近くにある民宿「紅乃屋」の駐車場を、一日500円で利用できます。10台程度駐車可能です。
紅乃屋駐車場には、駐車料金を入れる箱と車のナンバーを記入する用紙がありますので、早朝でも利用できます。

三峰神社表参道鳥居から三峰ビジターセンターまでの3.2kmの表参道を通るルート上は、特に危険な個所はありません。
スタートしてすぐにある竜門の滝へは、すこし道を逸れて行くことができます 。
人通りはそれほど多くなく、時折り苔むした森の中を、登り続けます。緩やかな登りが延々と続きますので、体力が必要です。

途中にある清浄の滝には、腰を掛けて休憩できる東屋があります。

三峰神社に着くと、たくさんの参拝客がいます。
三峰神社では、毎月1日に「白い氣守(きまもり)」と呼ばれるお守りが販売されてきましたが、これを買いたいがために参拝者が殺到し:、数十キロの車の渋滞ができたこともあり、地域に住んでいる方々の生活に迷惑が掛かっていました。
そのため、お守りの配布は2018年6月以降中止となりましたので、1日の混雑は緩和されています(白色以外のお守りは常時販売されています)。

三峰ビジターセンターの前から、雲取山への登山道が始まります。
森の中の鳥居をくぐり、少し登ると妙法ヶ岳分岐があり、左に30分ほど進むと妙法ヶ岳と三峰神社奥宮があります。通常は右に進みます。

40分ほど歩くと炭焼平に到着します。ここには白炭窯の跡があり、ベンチもあるので休憩することができます。

登山道はブナの森を進みながら、霧藻ケ峰に近づくと急な登りとなります。
霧藻ケ峰手前の地蔵峠には、大日向へ分岐する左方向の道がありますが、右へと進みます。ここでは、眺望が楽しめます。

霧藻ケ峰の山頂に着くと霧藻ケ峰休憩所があり、ベンチが備えられ、トイレもあります。
また、土日休日、年末年始、ゴールデンウィークなどの人の多い時期にはお店が開いていて、300円でお茶かコーヒーを飲んで休憩することができます。素泊まりにも対応しています(5名まで)。

霧藻ケ峰を過ぎ、アップダウンを繰り返してから、前白岩山への登りを進みます。お清平から前白岩山の肩までの区間が急な登りになります。

前白岩山を過ぎ、緩やかに下ると白岩小屋跡に着きます。小屋は営業していませんが、簡易トイレやベンチが置かれ、休憩することができます。
小屋から300mほど下った標高1730m地点に水場があります。

白岩小屋跡を過ぎ、急な登りを進みます。白岩山頂は森の中にあり、眺望はありません。

白岩山を過ぎると分岐があり、左へ登ると芋の木ドッケ・長沢山方面です。
ここでは右の大ダワ・雲取山方面へと下って行きます。

大ダワまで登りはなく、森の中を快適に下ります。
昔は利用できた大ダワ林道(今は廃道でロープが張られています)からの登りの道と合流し、大ダワにつきます。
大ダワには標識と、休憩できる木のベンチが置かれています。

大ダワを過ぎると登りになります。雲取山荘へと進みます。
雲取山荘までは2つのルート、男坂と女坂がありますが、快晴で風がなければ、ほぼ稜線のルートを進む右の男坂を選べばいいでしょう。女坂は男坂より緩い勾配を時間をかけて雲取山荘まで登ります。

30分ほどで雲取山荘に着きます。
雲取山荘は平成11年に改築された、木造2階建て、収容人数200人の立派な建物です。山荘手前にはテン場もあります。
水洗トイレがあり、売店には食べ物やアルコールも販売されています。
宿泊の場合、某アウトドアショップの会員カード等で割引があるようです。

雲取山荘を過ぎると、樹林帯の中を徐々に急な登りとなり、岩場もありますが、滑落するような危険な個所はありません。
雲取山頂に着くと、平らな広場に三角点や標識が埋められ、方位盤などもあります。
360°のパノラマとは行きませんが、大きく視界が開け、富士山や南アルプス、白根山や浅間山などが望めます。

山頂はちょうど、東京都、埼玉県、山梨県の境に位置しており、3つの都県をまたぐことができます。

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コース3.富田新道からピストン  中級者以上 (往復 約10H、一般的に1泊2日)

奥多摩駅からバスで日原鍾乳洞まで行き、日原林道~富田林道~小雲取山~雲取山と登る、人の少ない静かなルートです。
鍾乳洞は夏でも涼しい観光スポットとして人気です。


ルートは以下の通りです。


小川谷橋・鍾乳洞バス停600m~(40M)~八丁橋~(1H)~富田新道入口(野陣尾根取付)~(3H40M)~小雲取山1937m~(30M)~雲取山2017m (登り 5H50M)

雲取山2017m~(20M)~小雲取山1937m~(2H25M)~富田新道入口(野陣尾根取付)~(50M)~八丁橋~(30M)~小川谷橋・鍾乳洞バス停600m (下り 4H5M)


6:05~6:52まで富田新道(野陣尾根)を下山。
富田新道の雰囲気だけですが人通りの少ない静かなルートです。

スタート地点の小川谷橋・鍾乳洞バス停までは、毎日朝6時台から西東京バスが奥多摩駅から出ていますが、土日は二つ手前の東日原バス停止まりとなりますので注意してください。東日原バス停から鍾乳洞バス停までは徒歩約25分です。
奥多摩駅から鍾乳洞バス停までは32分で500円です(2018年現在)。
車の場合、日原鍾乳洞の駐車場を利用することができます。またその先の日原林道を進み八丁橋まで車で行くことができ、そこに数台の駐車スペースがありますので、 そこまで行って歩く距離を減らすことも可能です。

バス停を下り、小川谷橋を渡り、鍾乳洞方面に進まずに左に進路を取ると日原林道に入ります。
日原林道から八丁橋の車止めゲートまで30分程緩やかな道を歩きます。
八丁橋のゲート脇を過ぎ、さらに50分ほど進むと富田新道入口につきます。ここで右側にある大ダワ林道方面に進まず、まっすぐ進みます。

しばらくすると唐松橋を渡ります。ちょうど標高1000m地点です。
この橋を過ぎると本格的なのぼりの始まりです。標高1700mのサワラの平まで急な道を登って行きます。

サワラの平まで着くと登りの斜度が少し優しくなります。ブナとカンバの森となり、小雲取山まで緩やかに登ります。
30分ほどで、小雲取山に着きます。

小雲取山から雲取山へは緩やかな登りを30分ほど進みます。
雲取山山頂につくと、天気が良ければ、遠く富士山を望むことができます。

下山は登って来た富田新道を戻ってもいいですが、コース1で紹介した鴨沢方面へ降りる方や、三条の湯経由で下山する方など、多彩なルートを選ぶことができます。

また日が出るのが早い夏には、早朝5時頃に日原鍾乳洞からスタートすると十分な余裕をもって日帰りでピストンすることが可能です。

コース4.峰谷ルート 峰谷バス停~赤指山分岐~七ツ石山~雲取山  中級者以上(往復 10H、一般的に1泊2日)

峰谷バス停か、その手前の峰谷渓流釣場バス停で下車し、赤指尾根、七ツ石山、小雲取山を経由し、雲取山に登頂するコースです。


ルートは以下の通りです。


峰谷バス停600m~(3H30M)~千本ツツジ~(30M)~七ツ石山~(10M)~ブナ坂~(40M)~雲取奥多摩小屋~(25M)~小雲取山1937m~(30M)~雲取山2017m (登り 5H45M)

雲取山2017m~(20M)~小雲取山1937m~(20M)~雲取奥多摩小屋~(30M)~ブナ坂~(15M)~七ツ石山~(20M)~千本ツツジ~(2H30M)~峰谷バス停600m (下り 4H15M)

スタート地点の峰谷バス停からは、浅間尾根を経由して鷹ノ巣山に登り、そこからは石尾根を下り奥多摩駅に戻るルートが人気で、バス停で下りると雲取山方面に進まずに、浅間尾根方面へ進む登山者がたくさんいます。

しかし今回はより体力の必要な、七ツ石山を経由して雲取山へと登るマイナールートを紹介します。

スタート地点の峰谷バス停へは、車かバスを利用します。
車の場合、駐車場の確保が難しいため、奥多摩湖にある峰谷橋バス停無料駐車場を利用し、登山口まで徒歩やバスを利用します。
バスの場合、奥多摩駅から峰谷バス停まで36分600円 です。奥多摩駅から峰谷バス停まで行くバスは通常朝7時台後半からしかないので、6時過ぎの鴨沢方面へ行く始発に乗り、峰谷橋バス停で降りて、峰谷バス停まで約3キロを徒歩で進む方が早くなります。

電車+バスの場合はどうしても車よりスタートが遅くなるので、途中の奥多摩小屋や雲取山荘で1泊することが多いですが、下山を鴨沢方面として、健脚の方なら7時間弱で往復してしまいます。

バス停からスタートしてまずは山へと続く階段を登り、峰谷の集落を抜けて行きます。
集落内には大きな道路以外にたくさんの近道があり、地元の方に声をかければ教えてくれることがあります。
車道に合流し、1時間ほど歩くと舗装された広い林道が終わり、未舗装の山道へと入るゲートがあります。
ここからは鹿や熊の出没情報がよくありますので、念のため熊よけの鈴をバックパックにぶら下げることをお勧めします。
また道が細く、崩れそうになっている場所もありますので、慎重に歩きましょう。

ゲートを過ぎて、樹林帯を1時間50分ほど歩くと、赤指尾根に出ます。
途中1060mあたりで林道をまたぎます 。

赤指尾根に出てもまだ樹林帯です。
急斜面を少し避けるように東側に付いた道を40分ほど歩きます。
樹林帯の中を急勾配が続き、石尾根(千本ツツジ1702m)に到達します。

千本ツツジを見ながら進むと、左手遠くに富士山が見えるようになります 。
尾根筋でなく、石尾根(巻き道)を進めば風雨をしのげますが、巻道は途中から七ッ石小屋へと向かい、こちらを選ぶと距離が随分と増えてしまいますし、眺望も楽しめないので、おすすめしません 。
25分ほどで七ツ石神社に到達します。

七ツ石神社を過ぎ、さらに10分弱で七ツ石山に着くと、綺麗に雲取山と雲取山につながる尾根、遠く南アルプスや富士山を望むことができます。

七ツ石山からブナ坂を下って行きますが、七ツ石山からのルートは、コース1で紹介した鴨沢からのコースと合流しますので、そちらをご覧ください。

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コース5.丹波山温泉から飛龍山を 経て雲取山 中・上級者向け (1泊2日)

丹波山村方面から雲取山へ登る場合、鴨沢バス停や小袖にある丹波山村営駐車場を出発点として、小袖登山口を利用することが殆どです。

ここで紹介するコースは、丹波山村をさらに奥に入り、丹波山温泉・道の駅たばやま周辺からスタートし、サオラ峠、飛龍山と経由して雲取山へと登るロングコースです。
長距離を歩きますので、1泊2日以上が標準です。


ルートは以下の通りです。


丹波バス停630m~(50M)~山王沢乗越~(1H10M)~サオラ(サヲウラ)峠1406m~(2H)~前飛龍1954m~(40M)~飛龍権現神社~(20M)~飛龍山(大洞山)2077m~(20M)~北天のタル~(1H30M)~狼平~(40M)~三条ダルミ~(45M)~雲取山2017m~(20M)~雲取山荘1891m(泊) (登り 8H35M)

雲取山荘1891m~(30M)~雲取山2017m~(20M)~三条ダルミ~(40M)~狼平~(1H50M)~北天のタル~(40M)~飛龍権現神社~(30M)~前飛龍1954m~(1H20M)~サオラ(サヲウラ)峠1406m~(1H10M)~丹波バス停630m (下り 7H)


(注:手振れが激しいです)19:11~雲取山を下山開始し、三条ダルミ~狼平~北天のタル~飛龍山~前飛龍山~と下って、最後は丹波バス停でなく、丹波天平を通って親川バス停~鴨沢バス停へ下山しています。

スタート地点の丹波バス停へは、車かバスを利用します。
車の場合、道の駅たばやまに駐車すると良いです。
バスの場合、奥多摩駅から丹波バス停まで54分1010円 です。奥多摩駅から丹波バス停までは通常平日なら朝7時、休日なら朝8時半ばに奥多摩駅を出るバスが一番早くなります。それより前は、6時過ぎに奥多摩駅を出る鴨沢西バス停行きに乗り、そこから丹波バス停まで7キロほど歩く必要があります。

丹波バス停からスタートしてすぐに右手に進む道路に入ります。「サヲウラ峠登山口」の目印があります。
獣害防止の電気柵で囲まれた畑の間の道を通り過ぎ、電気柵で囲われた場所から抜ける際には、有害鳥獣侵入防止の扉を開け閉めします。

山王沢乗越までは斜面を横切りながら徐々に高度を稼ぎます。
山王沢乗越を過ぎると急登が始まり、1時間ほどでサオラ(サヲウラ)峠に到着します。
峠には「中川神社」の看板と石祠があります。
ここでは、三条の湯方面への分岐もあります。

サオラ峠からは、しばらく緩やかな尾根筋の道を歩きます。
熊倉山1624mの山頂は林の中に三角点が置かれています。
熊倉山を過ぎ一度下ると、前飛龍に向けて徐々に登りがきつくなり、前飛龍直下では急登が続きます。
前飛龍頂上では、木々の間に遠く富士山を見ることができます。
岩場になっていて、その上からぐるりと240度くらい展望が楽しめます 。

前飛龍を過ぎると飛龍権現神社の分岐があり、ここで少し道を逸れ禿岩に進むと、視界が開け、富士山や南アルプスの絶景を楽しむことができます。 
神社には、小さな石祠があるだけです 。

元来た道に戻り、飛龍山(大洞山)を目指し20分程緩やかに登ると、飛龍山山頂です。
飛龍山は2077mで、これから目指す雲取山よりも高い山です。
頂上には寂しく標識が立っているだけで、木々に囲まれて全く展望がありませんので、手前の禿岩で眺望を楽しむことをお勧めします。

飛龍山(大洞山)を過ぎると、北天のタルに向けて森の中を下ります。
雲取山まで基本的に尾根の南側斜面に道が付いていますので、日中比較的暖かく、春先の雪が早く溶けます。

北天のタルでは、三条の湯へと降りる道がありますが、三ツ山・雲取山方面へと進みます。
北天のタルから三ツ山へは巻き道になっていて、アップダウンがあまりありません。
また、北天のタル前後には歩きやすい桟道が整備されていて快適です 。

笹と木々の混じった道を進み、三ツ山を巻き、狼平に着くと、視界の開けた広々とした広場があります。狼平は、一帯の林道整備の資材をヘリコプターで運んで置く場所として、人工的に作られた場所です。

所々、笹で覆われてわかりづらい道を進みます。
三条ダルミでは、三条の湯からのルートと合流します。ここまでも、ここからも、ルート上に特に危険な個所はありません。
ダルミとは稜線の鞍部、コルなどのことで、三条ダルミは南側に視界が開け、ベンチがあり休憩 できます。
ここで既に富士山が見えます 。

三条ダルミからは雲取山への最後の急登が始まり、どんどん標高を上げて行きます。尾根筋の道は広く、危険を感じることはありません。所々、ごろごろとした岩も見えてきます。

雲取山山頂に着くと2017.1mの碑や、方位盤が置かれています。
方位盤では、東西南北に見える山々の名称を確認できます。

登頂後、雲取山荘や雲取山避難小屋に宿泊し、翌日に下山します。
雲取山避難小屋 にはトイレはありますが、水場はありません。20人ほどが泊まれます。

コース6.石尾根縦走からのロングコース  中・上級コース (1泊2日~2泊3日)

石尾根は、青梅線の奥多摩駅付近から雲取山まで伸びる、距離約19キロの長大なコースで、標高差1700m弱の尾根筋ルートです。
石尾根筋は防火帯の役割も担っており、所々コース上が広く切り開かれ、歩きやすくなっています。

距離が長いので1泊2日~2泊3日の行程となり、ルート上の宿泊場所は、雲取山荘、雲取山避難小屋、奥多摩小屋、七ツ石小屋、鷹ノ巣山避難小屋となります。
2泊の場合には1泊目に鷹ノ巣山避難小屋(1560m)に宿泊するのがお勧めです。綺麗な小屋で、広い小屋前広場にはテーブルやベンチが置かれ 、水場 やトイレもあります。


ルートは以下の通りです。


奥多摩駅352m~(2H15M)~三ノ木戸山分岐~(1H)~六ツ石山分岐~(1H30M)~水根山1620m~(5M)~縦走路分岐~(40M)~鷹ノ巣山1737m~(25M)~鷹ノ巣山避難小屋1560m・巳ノ戸の大クビレ~(1H10M)~千本ツツジ~(30M)~七ツ石山1757m~(10M)~ブナ坂1650m~(40M)~雲取奥多摩小屋1750m~(25M)~小雲取山1937m~(30M)~雲取山2017m~(20M)~雲取山荘1891m(泊) (登り 9H40M)

雲取山荘1891m~(30M)~雲取山2017m~(20M)~小雲取山1937m~(20M)~雲取奥多摩小屋1750m~(30M)~ブナ坂1650m~(15M)~七ツ石山1757m~(20M)~千本ツツジ~(1H)~鷹ノ巣山避難小屋1560m・巳ノ戸の大クビレ~(35M)~鷹ノ巣山1737m~(25M)~縦走路分岐~(5M)~水根山1620m~(1H10M)~六ツ石山分岐~(40M)~三ノ木戸山分岐~(1H30M)~奥多摩駅352m (下り 7H40M)

雲取山登頂に石尾根を縦走する登山者のほとんどは、登りに鴨沢ルートを選び、標高540mの鴨沢バス停や、その上の小袖乗越750mの駐車場から登頂し、下りに石尾根を通り奥多摩駅352mに到着することで、登りの負担を減らします。

ここでは、より登りの負担が大きい、奥多摩駅から石尾根を登るルートを紹介します。


雲取山から奥多摩駅まで下山しています。

奥多摩駅をスタートし、氷川大橋を渡ります。
橋を渡ってから横断歩道を渡り、青梅街道から離れてわき道を登って行きます。
しばらくは民家の間の細い道を歩き、羽黒三田神社方面へ向かいます。

途中、「羽黒三田神社表参道入口」・「六ッ石山・鷹ノ巣山・雲取山」の標識がある分岐がありますが、ここでは左の「羽黒三田神社表参道入口」へと進み、人だけが通れる細い橋を通って道路をまたぎます。

神社を過ぎ、さらに細い山道を登ると、舗装された道路に出ます。
そこからは道なりに進みます。

しばらく登ると、舗装道路の右斜面に「石尾根縦走路・六ツ石山」の標識が現れます 。ここが登山口のスタートです。
ここまでは途中に町中の分岐道が多く、慣れていないと予想外に1時間ほどかかってしまうかもしれません。しかし、道を間違えて遠回りするよりも、時間がかかっても最短距離を通る方がいいと思います。

三ノ木戸山分岐までは、急になったり、緩くなったりする森の中の道を登って行きます。分岐に近づくと平坦になります。
途中、神社や小屋がありますが、かつて人が住んでいた名残です。
三ノ木戸(さぬきど)山に登るには道から逸れる必要がありますが、眺望がいいわけではないので、登る人は少ないようです。

三ノ木戸山・小中沢分岐を過ぎたあたりから、徐々にところどころ眺望が開け、登りはきつくなりますが、尾根筋の気持ちいい登山を楽しめるようになります。
登山道上には石や岩がなく、道が広くよく整備されています。

六ツ石山分岐に近づくと急な登りが緩みます。
分岐地点の標高は1440mで、奥多摩駅から1000m以上登った計算になります。
六ツ石山頂へは石尾根を少し外れて、そしてまた同じ道を戻ってきます。
山頂は平らにならされた広い広場があり、まばらな木々の間から周辺の山が見えます。

分岐を過ぎ緩い登りを15分ほど進むと、石尾根(巻き道)から鷹ノ巣山(尾根筋)へと分岐する標識が現れます。
ここで鷹ノ巣山(尾根筋)へと進んでも、後で石尾根(巻き道)に合流しますので、どちらの道を進んでも構いません。
体力の消耗を防ぐなら、石尾根(巻き道)を選び、鷹ノ巣山(尾根筋)を避けます。

ちなみに、石尾根(巻き道)と鷹ノ巣山(尾根筋)どちらも石尾根と呼ばれているようです。
どちらのルートもまとめて石尾根と言われているようです。

石尾根(巻き道)を進みさらに30分ほど歩くと、「石尾根縦走路・倉戸山分岐」が現れます。
ここで再び、鷹ノ巣山(尾根筋)へと登る標識と道が現れます。
体力に余裕があるなら鷹ノ巣山(尾根筋)へと30分ほど登れば、鷹ノ巣山に登頂できます。山頂には南側・東側に遮るものがなく、晴れていれば、綺麗に富士山が視界に入ります。
また、鷹ノ巣山へは麓の峰谷集落から浅間尾根を登ってくる登山者や、日原集落から稲村岩尾根を登ってくる登山者がそれなりにいますので、今までとうって変わってたくさんの登山者に会うことがあります。

体力を温存するなら石尾根(巻き道)に進んで、鷹ノ巣山を巻きます。
分岐から石尾根(巻き道)を50分ほど進むと、鷹ノ巣山避難小屋に到着します。

鷹ノ巣山避難小屋はログハウスで、トイレもあり、小屋前の広場には椅子やテーブルがいくつかある快適な広場があります。
また200mほど逸れたところに水場がありますので、これからの水分補給に不安があるならここで確保しましょう。
ここでテントを張ることもできます。

鷹ノ巣山避難小屋1560mを出発すると、再び鷹ノ巣山(尾根筋)の道か、石尾根(巻き道)の道かを選びます。
尾根筋に進めば、日蔭名栗山1725m、高丸山1733mと2つのピークがあります。短い間に急な登りと下りが2つ続きますので、踏ん張りどころです。
石尾根(巻き道)を選べば、標高差のあまりない巻き道を進みます。

鷹ノ巣山(尾根筋)を通り高丸山から広い尾根筋の道を下山すると千本ツツジにたどり着きます。
千本ツツジはヤマツツジの林となっている場所です。
天気が良ければ、富士山をちらちらと眺めながら、広い尾根道を七ツ石神社・七ツ石山へと進みます。

石尾根(巻き道)を進むと、「コース4.峰谷ルート」で紹介したルートと峰谷分岐で合流します。ここでそのまま巻き道を進んでも眺望が楽しめませんので、尾根筋の千本ツツジに出ることをお勧めします。

七ツ石神社・七ツ石山にたどり着けば、そこからは「コース1.鴨沢からピストン 又は 三条の湯周遊 一番人気のコース」に合流しますので、ルートの詳細はそちらをご参照ください。

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コース7.二軒小屋尾根コース 東日原バス停~日原林道~二軒小屋尾根 中・上級者向き (1泊2日)

二軒小屋尾根は日原集落を過ぎて始まる日原林道の最奥から続く尾根で、人通りの少ないマイナーな尾根です。
このコースでは、二軒小屋尾根を利用して雲取山の北東を周って芋ノ木ドッケ、雲取山荘を経由して、雲取山に登頂します。

ピストン(往復)のルート以外に、雲取山登頂後、下りに唐松谷林道(唐松林道)を通る周遊ルートを取ることも可能で、下りに同じルートをたどることで元気を失うこともありません。

逆に二軒小屋尾根の下りルートは、尾根が広くてルートを見つけるのが難しいので、上級者向きとなります。


ルートは以下の通りです。


鍾乳洞バス停600m~(40M)~八丁橋720m~(1H)~富田新道入口(野陣尾根取付)1000m~(3H30M )~芋ノ木ドッケ1946m~(35M)~大ダワ~(30M)~雲取山荘1891m~(30M)~雲取山2017m~(20M)~雲取山荘1891m(泊) (登り 7H5M)

雲取山荘1891m~(20M)~大ダワ~(50M)~芋ノ木ドッケ~(2H30M)~富田新道入口(野陣尾根取付)1000m~(50M)~八丁橋720m~(30M)~鍾乳洞バス停600m (下り 5H)

バスの場合、スタート地点の鍾乳洞バス停へは、奥多摩駅から西東京バスを利用します。
奥多摩駅から鍾乳洞バス停まで31分500円 で、奥多摩駅始発は朝6時30分あたりからほぼ1時間おきにあります。

車の場合、日原鍾乳洞の駐車場で停めるか、さらに上がって八丁橋にある駐車スペースを利用 します。

バス停をスタートして日原林道を進みます。
八丁橋まで40分ほど、かなり緩やかな登りを歩きます。標高差100mほどです。

八丁橋を過ぎると車止めのゲートがあり、横をすり抜けて進みます。
そのまま林道の砂利道を、徐々に高度を上げながら1時間ほど進むと、富田新道入口(野陣尾根取付、大ダワ林道分岐)です。
富田新道・唐松谷林道方面へは林道を逸れて左に下りますが、そのまま林道を進みます。

20分ほど日原林道を歩くと、大ダワ林道入り口の標識があります。
そこから日原林道を離れ大ダワ林道入り口に入ります。
大ダワ林道は通行禁止ですが、大ダワ林道から逸れる二軒小屋尾根を登るため、ここに入ります。

林道に入り下って行くと、すぐに沢を渡ります。
沢にかかる橋は取り外されていますので、靴が濡れることを覚悟して渡渉しましょう。

渡るとすぐに尾根に当たります。
そこには道を遮る形で(通せんぼする形ですが通れます)ロープが張ってありますので、地形を見て、尾根を見つけたと判断できるようにしましょう。

尾根は岩などなく歩きやすく、どんどん広くなっていきます。
ところどころ尾根筋が狭まりますが、十分な広さがあります。
時々赤い杭が道に打たれていますので、それも目印になります。
木々の間を登ります。

標高1594mのモミソの頭についても、まだ森の中です。
「モミソの頭」という小さな30cmほどの高さの標識が建てられています。
ここが二軒小屋尾根で唯一のピークですが、ピークと言うにはとてもなだらかです。

モミソの頭を過ぎ、なだらかなで広い尾根を登って行きます。
森の中ですが、ちらちらと雲取山が見えるようになります。

1700mを過ぎたあたりから徐々に傾斜がきつくなり、1800m地点に近づくと急登になります。徐々に尾根筋が細くなります。

急登が終わり、少し勾配が緩くなると芋ノ木ドッケで、ここで長沢背稜に出ます。
まだ森の中ですが、「芋ノ木ドッケ」と書かれた木杭が打たれ、雲取山へと続く道の方向が示されています。

芋ノ木ドッケから進路を変え南西に下ります。
最初は急な道を下り、徐々に勾配が緩くなります。

10分程下ると長沢背稜が終わり、三峰神社方面から白岩山を経由する「コース2.三峰神社ルート」と合流します。
ここからのルートの詳細はそちらをご参照ください。

おわりに

雲取山は、東京都、埼玉県、山梨県の境にある山です。
明るく開けた道が多く、一見迷いそうにありませんが、山が深く、たくさんの林道があり、遭難する人がいることも事実です。

埼玉県の防災ヘリは全国で初めて2018年より有料化され、燃料代として飛行時間5分あたり5000円が、救助者に請求されることになりました。
例えば、ヘリが出発して遭難者を発見・救助して、ヘリポートに帰ってくるまで60分間飛行したとすると、6万円が請求されることになります。

救助ヘリは、埼玉県のように県の消防課に所属している防災ヘリコプターが飛んでくる場合や、警察のヘリ、自衛隊のヘリなどが救助に当たる場合もあります。
救助された自治体や組織により、救助費用が変わるなんてことが起こり得ます。

遭難しないようにするには、事前にルートを確認し、特に人通りの少ないマイナールートでは地図を持ち、道に迷ったなと思ったら、時間を取り返すためにむやみに進まず、引き返す勇気も持ちましょう。

遭難時の心理を7人の生還者からのヒアリングで明らかにした、羽根田治氏の「ドキュメント 道迷い遭難(ヤマケイ文庫)」という本があります。
その中でも、遭難時には心理的に難しいけれど、元の道に戻るのが正解だ、ということが書かれています。

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