スウェーデンのイケメンモデルは家事もできます!女子力男子の理由を探る
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最終更新日:2018/02/12
スウェーデン(Sweden), 北欧(North Europe), 生活(Life)
男は男らしく。
ある程度の世代の人であれば、これは当たり前の事でした。男なのだから泣くな、男なのだから弱音を吐くな。
しかし、今の世の中は違います。その象徴として、様々な新語が登場しています。
よく耳にするのが「家事メン」「育メン」。
そして、「女子力男子」という言葉も登場しました。
日本の一歩先?を行くのがスウェーデン。
スウェーデンでは男子に高い女子力があります。どんなにイケメンでもです。それは学生時代の寮生活、高い税金や健康志向などから養われていくようです。
筆者のスウェーデン在住経験で見てきた、女子力男子について紹介します。
**目次**
1.女子力男子とは
これは文字通り「女子力が備わっている」「女子力が高い」男子のことを指します。
ここで言う女子力とはなんなのでしょうか。それは、これまで女性が得意としていたり、やっていた領域のことを指します。具体的に言うと、料理、洗濯、掃除、買い物等。そしてお肌や髪の手入れなどと言った分野までも含んでいます。
家事やスキンケア、と言えばよいのでしょうか。
これらに秀でている男子の事を「女子力男子」というのです。
2.スウェーデンでは当たり前?!女子力男子
自分に海外生活の経験があったからでしょうか。以前に「家事メン」「育メン」という言葉を聞いても特に衝撃はありませんでした。
ふ~ん、わざわざ名前を付けるかね、と思ったくらいです。ひねくれ者ですみません。
いえ、でも海外生活の経験からだけではありません。我が家の夫は家事ができます。
今でさえ私は子育て中の専業主婦ですが、通訳として働いていたときは土日も仕事をしていたので、土日休みの勤務の夫とは休みが合わないことも。
朝ごはんを食べたら「あとはよろしくね!」と化粧や身支度をさっさと済ませてお皿も洗わず出勤することもごく普通の光景でした。ちなみに夫は日本人です。
スウェーデンでは、男性の家事参加は当たり前。ホームパーティーに呼ばれると、料理をふるまっているのはその家庭の「父」であったり、街中でベビーカーを押しているのはイケメンのパパであったり、という光景はごく一般的でした。
寮生活でもそうでした。
男子学生もしっかり料理を作り、洗濯をして畳んでいました。
洗濯機などが置いてある洗濯室は共同利用だったので、自分の洗濯を取り出すのをちょっと遅れてしまうと、次の男子学生がご丁寧にきちんと畳んでくれている、ということもありました。
下着などは正直恥ずかしい気分でしたが男女平等のこの国に暮らしていると、そのような気持ちも薄れていってしまいました。
3.学生時代から「女子力」が高まる?!
男性は外で仕事をして家庭を養う、そういう考えがずっと続いていた日本だからこそ「男らしく」という言葉があるのかもしれません。ですから「女子力男子」という言葉が生まれたのも日本独特の物事の捉え方かもしれません。
しかし、国の違いを一度取り払ってこの「女子力男子」というものを考えてみると、スウェーデンでは自然と「女子力男子」が育つような気がします。
スウェーデンでは、大学進学を機にほとんどの人が親元を離れます。早い人では高校生になったら寮生活を始めるという人もいるくらいです。
寮生活はいろいろなパターンがあるとは思いますが、私が知っているある高校生は、大学生の寮に学生と一緒に住み、自炊をし、洗濯も掃除も自分でしていました。実は私の寮にいたのです。
高校生とは知らずに私は仲よくしていました。ある日「明日卒業式なんだ」というので、大学の卒業式にしては時期が違うなあ、と思っていたら「高校生だよ」というのではありませんか!びっくりしました。
日本でも全寮制の学校があるので特に珍しくないかもしれませんが、大抵は寮母さんなどがいてくれて、食事の世話をしてくれる場所が多いと思われます。大学生と同じ寮に住み、全てを自分でやっている、ということに私は衝撃を受けました。
さて、話は戻りますが、大学進学を機に親元を離れるにはいくつかの理由があります。一つは、自宅から通えるところに行きたい大学があるとは限らないこと。スウェーデンの国土はとても広いです。大学があるのはたいてい大きな都市です。そこまでバスや電車で通えればいいのですが、あまり現実的ではありません。
二つ目は、自立の第一歩、ということ。親元を離れれば自由が増えます。しかし、その分何もかも自分でやらなければいけないので、否応なく生きていく力が身に付きます。
三つ目は、二つ目の理由とも似ているのですが、家族も大切ですが「個人」である自分自身も大切にする風潮があるという事です。一時期日本でこれまた流行った言葉に「パラサイト」という言葉がありましたが、これはスウェーデンにはあまり存在しないでしょう。
親に介護が必要になれば、国や地方地自体がその面倒を見てくれます。もちろん家族も顔を見に行ったり、とまったく関与しないドライな関係ではないのですが、「親は親」「子は子」の人生がある、と捉えているのが、北欧スウェーデンの親子関係なのかな、と思います。
その為、たとえ自分の親が離婚していて片親であろうと、子どもは大学を機に家を出て自立します。その分普段は電話やメールでお互いの近況をやりとりをしたり、クリスマスなどの一大イベントには、いくら遠くても実家に帰り、家族でお祝いするなど、お互いを気遣う心は自立と共存してあるのです。
4.税金の高さも「女子力男子」を育てる?
海外の税金は日本よりはるかに高いと有名です。
スウェーデンの消費税は25%!非常に高いです。日本の8%と比べるとどれだけ高いかの想像がつくと思います。
なお、日本でも現在議論されている「軽減税率」が適用されているので、食料品などは12%とされていますので全てにおいて税率25%というわけではないのですが、今回は最大の税率は25%だとイメージしてください。
大学の寮生活は基本的に自炊です。昼間は大学内のカフェテリアで食事をするとしても、朝や夜は自宅となる寮で食事をとります。高い外食代に、さらに高い税金がかかってしまうので、外で気軽に食べるというわけにいかず、男子も自炊するのです。
なお、日本のように24時間開いているコンビニもあまりありません。
首都ストックホルムなどは別でしょうが、地方の都市にはコンビニのようなものがあったとしても、朝から晩まで開いているお店は少ないです。皆無のところもあるでしょう。スーパーはありますが、これも営業時間は短めだったりします。
となると、買い物も工夫しないといけませんね。
大学生は授業がメイン。その合間をぬって買い出しをします。そして、帰宅後はなるべく早く料理を進めたい。
時間帯によっては共同のキッチンは混みあいます。夜くらいはゆっくりしたい、となると料理テクニックは必須です。
しかし、料理は楽しみでもあります。多めに作って寮の友達におすそ分けしたり。私もよく男子学生が作ってくれた料理を頂き、そのおいしさに脱帽しました。
5.健康志向も「女子力男子」を育てる?
食は体を作ります。税金の高さも無視できませんが、スウェーデンの健康志向もこの女子力男子を育てているのではないかと私は思います。
日本で言う「オーガニック食材」がスウェーデンにもたくさんあります。特定のマークが付いているものもあり、国からのお墨付きを受けています。健康で長生き、というのはどこの国に住んでいても共通の希望であり、スウェーデンでも食に気を使っている学生が多く見受けられました。
しかし、ガチガチに食生活をコントロールするのではなく、油や糖分を意識し、バランスの良い食生活を送る、ということを一人一人が心がけている雰囲気が感じられました。
ちょっとコンビニに行けば出来合いの食事が買える、という環境ではないので、自分でなんとかしなければいけない、というのもあるのですが、自分の体を作るものだから、自分の口に入るものはきちんと選びたい、ということを学生のうちから気を付けているのだと彼らを見ていて思いました。
これ以外にも、車に乗るより自転車やウォーキングをする、という光景もよく目にしました。
実際問題、学生の自動車保持率はあまり高くありませんでした。その理由の一つがガソリンの値段の高さです。その為、友だちに車をお願いした時は、その代金を支払うことが一般的ですし、みんなで乗合をした場合にも割り勘でガソリン代を支払いました。
学生街では公共交通であるバスの便が充実しています。お金を浮かせるという理由に健康を維持するという理由を組み合わせて、どんなに遠くても自転車で通学している学生も少なくありません。
通学がエクササイズになってしまうので、わざわざなにかをしなくてよいので一石二鳥なのです。
先に述べたスキンケア、これはどうかというと、乾燥しがちなスウェーデンの冬は、男子学生でもリップクリームやハンドクリームはとくに珍しいものではありませんでした。
美、を追い求めるというよりも、どちらかというとこれは自分のお肌の健康の為というわけですね。なかには女子顔負けのスキンケアをしている人もいるかもしれませんが、私のまわりには残念ながらいませんでした。
6.結婚するならこれからは「女子力男子」?
育メンや家事メンはどちらかと言えば既婚者の男性を指すような気がします。育メンは我が子を相手にするので、間違いなくそうですね。家事メンは、未婚でも当てはまりますが、やはり既婚者のほうがピンときます。
一方、女子力男子はどうでしょうか。未婚、既婚問わず、当てはまる言葉です。独身のうちから女子力が強い男性もいるでしょうし、結婚してから家事などに目覚めてスキルが身に付く男性も多いでしょう。
その反面、自分のパートナーである彼や配偶者が「女子力」が高くて悩んでいる、という女性も世の中には多いようです。なんとなく自分が負けた気がする、自分の出る幕が無い、と。
しかし、そんなことはないと思います。女性らしく、男性らしく、という言葉の時代はもう過去のものになりました。
話をスウェーデンに戻しますが、スウェーデンでの専業主婦率は2%とも言われています。かたや日本は38%。日本はもっと多いようなイメージがありましたが、38%なのですね。それでもスウェーデンと比べると非常に多いです。
さて、女性が働くのは大変です。朝、子どもより早く起きて朝食を作り、子どもを起こしたら身支度をさせて急いで保育園へ。勤務後は急いで迎えに行き、これまた急いで夕飯の支度をして、それからお風呂、寝かしつけ。自分が眠るのは深夜。家事も貯まっている。
これが続いていったら、女性は本当に大変。
スウェーデンでの育児休暇はどうなのでしょうか?
父親が240日、母親が240日、合計480日の休暇が認められています。390日は、給与の80%が支払われます。
私のスウェーデン人の友人は、180日自分は取った、と言っていました。妻も休暇をしっかり取った、とも言っていました。実にうらやましい限りです。
男性も育児に参加するのが「当たり前」の社会、それがスウェーデンです。
一方、日本は残念ながらまだまだここまでは来ていません。それでも女性の社会進出が叫ばれ、同時に家事、育児もまだまだ女性がするものという観念が広がっています。
だからこそ「女子力男子」の存在が大きいのです。
どんどん家事をやってもらいましょう。育児もやってもらいましょう。
女性は一人何役もできることが多いのですが、それがずっと続いてしまっていてはヘトヘトになってしまいます。できることもできなくなってしまいます。できるはずだ、と全てを背負い込み自分を追いつめてしまう。そういうことも起こりうるのです。
自分ができないから夫がやっている、と嘆く必要はないのです。女子力がある男性は、自ら動きます。声をかければ気が付いてやってくれます。それに対する反応はありがとう、でよいのです。女性も男性も平等。これが基本です。
女子力が「口だけ」の人はダメ。妻の家事に文句ばかり言って行動が伴っていないのであれば、そんな人は女子力男子、とは言えません。本当の女子力男子は、「やってあげている」という感覚を持っていません。自分がやりたいから動く、無意識のうちに動く、というのが備えられているのです。
スウェーデンでイケメンでも普通に女子力があり、結婚後もイクメンとなり普通に女子力を発揮しているのを見ると、夫婦仲良く家事や育児を助け合い、自分の得意分野を伸ばしつつ、相手の苦手分野をフォローしていくことが今後の日本では、大切なのかな、と思います。
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